ハリウッド女優が熱中する怪しい商売の正体 グウィネス・パルトロウが映画に出ない理由
メールで届くそのニュースレターに書かれていたのは、イタリアに行くならおいしいジェラートはここ、ロンドンに行くならコーヒーはここでといった旅情報や、ヘルシーでおいしい料理のレシピなど、彼女の個人的なおすすめの数々だ。広告が入っているわけでもなく、当時、彼女は、「お金を儲けるために始めたわけじゃないわ。コストが自腹だから、むしろ損をしているのよ」と語っている。それでも続けるのは、「自分は、ほかの人の行けないすてきなところに行き、すてきなものに触れられる立場にあるので、せめてそれを分かち合いたいの」ということだった。
しかし、当然の流れというべきか、購読者数が増加するにつれ、それはビジネスへと移行していく。ニュースレターがウェブサイト「Goop.com」に形を変えると、そこには、パルトロウのおしゃれでナチュラル、そしてヘルシーなライフスタイルにつながる商品がつねに並び、直接それらを買えるようになった。
続いて、ステラ・マッカートニーやクリスチャン・ルブタンを含む有名ブランドとの限定コラボ商品の数々が話題を呼び、オリジナル商品開発へと拡大する。2016年には、北カリフォルニアのオーガニックスキンケアブランドJuice Beauty(ジュース・ビューティー)に投資を発表。パルトロウは、このブランドのメークアップ部門のディレクターにも就任した。ナチュラル志向のパルトロウは、メークアップもオーガニックにしたいと思いつつ、色や仕上がりなどで満足のいくものがなかなかないと不満を持っていたとのことで、同じ悩みをもつ女性たちのために問題を解決したいのだと抱負を語っている。
Goopの総資産額は2億5000万ドル
店を1軒埋め尽くすほど取扱商品が増えた近年は、ロサンゼルス、ニューヨーク、シカゴなどに、何度か期間限定ショップを出してみた。その感触を受け、昨年、ロサンゼルスで最も洗練されたエリアであるブレントウッドに、オリジナルブランド「G. Label(ジー・レーベル)」のブティックを本格オープンさせる。オンラインショッピングが主流になり、あちこちで店が潰れている中、Goopは逆に、オンラインから実際の店舗にビジネスを拡大したわけだ。
また、ロサンゼルスとニューヨークでは、「The Wellness Summit(ザ・ウェルネス・サミット)」と呼ばれるイベントを定期的に開催し始めた。チケットは最低でも650ドルと高いが、これまでに開かれた3回とも、即座に売り切れ。パルトロウがホストを務めるパネルディスカッションには、同じく女優のキャメロン・ディアス、ドリュー・バリモア、メグ・ライアン、ローラ・リンニーなど豪華キャストが出演(話は逸れるが、多様性がキーワードの現代にあって、これらの"お仲間"女性がほぼ全員ブロンドの白人であることにも触れておきたい)。
会場では、最新スタイルのヨガや、ビタミンB12注射、占いなどが提供され、当然、Goopおすすめ商品もごっそりとそろう。パルトロウのようなヘルシーで美しい女性になりたいと願う女性にとっては、まさに天国だ。
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