ハリウッド女優が熱中する怪しい商売の正体 グウィネス・パルトロウが映画に出ない理由

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Goopの総資産額は、現在、2億5000万ドルとされる。2016年にはベンチャーキャピタルを通じ、1500万ドル、今年はさらに5000万ドルの投資金を得た。

それだけ成長が期待されているということだが、全女性が無闇に彼女を支持しているわけではない。

専門家からの批判絶えないGoopの記事

冒頭に挙げたようなひんしゅく発言が珍しくないだけに、パルトロウには敵も多く、医学的根拠のない療法をすすめるGoopの配信記事には、専門家からも批判が絶えない。

たとえばブラジャーのワイヤーが乳がんにつながるとか、あるステッカーを肌に貼ることで体内エネルギーのバランスを取れる、などといった内容だ。ステッカーのほうはNASAの宇宙服に使われている素材とうたっていたが、NASAに否定され、後に謝罪した。ほかには霊とコミュニケーションできるヒーラーが優れた医学的アドバイスをくれるとか、コーヒーを使った浣腸が健康のためにいいなどの紹介記事もあった。一部の商品をめぐっては訴訟も起き、先月、Goopが14万5000ドルを払うことで決着している。

やることなすこと全部がヒットしてきたわけでもなく、雑誌『Goop』を新創刊するために生まれたコンデナスト(女性誌『VOGUE』や男性誌『GQ』などを発行する多国籍雑誌出版社)とのパートナーシップは、早くも2号で消滅した。だが、このアイデアをGoopはあきらめておらず、今後は独自で続けていく姿勢だ。全世界で紙媒体が滅亡への道をたどる中、パルトロウは、この雑誌を全米のすべてのニューススタンドやヘアサロン、スキンケアサロン、リゾートスパに置いてもらうとの野望をもっているようである。

今年9月には、ロンドンにアメリカ国外初の期間限定ショップをオープンした。ヨーロッパ各地やカナダなど、海外への展開は、今後の計画の重要な部分のようである。私生活では、ブラッド・ファルチャックと再婚した。ファルチャックはライアン・マーフィーと組んで「glee/グリー」「アメリカン・ホラー・ストーリー」など大ヒット番組を生み出した大物プロデューサーで、今度はテレビを使って何かおもしろいことをやろうと考えているのかもしれない。

つまり、パルトロウにはもはや、ロケで遠いところに行かされ、時間を取られる映画の仕事など、やっている暇は、到底ないのだ。女優のキャリアがピークだった頃も、小粒なアートハウス系の映画が多かったこともあり、パルトロウのギャラは高額なわけではなかった。それに、女優はしょせん、監督やプロデューサー、スタジオに雇われる立場。ボスとして自分の好きなようにできる今、そこに戻る理由はそんなにないのだろう。

猿渡 由紀 L.A.在住映画ジャーナリスト

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さるわたり ゆき / Yuki Saruwatari

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒業。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場リポート記事、ハリウッド事情のコラムを、『シュプール』『ハーパース バザー日本版』『バイラ』『週刊SPA!』『Movie ぴあ』『キネマ旬報』のほか、雑誌や新聞、Yahoo、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。
X:@yukisaruwatari
 

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