ただ、他の需要項目の拡大によって、この個人消費の減少をカバーできれば、日本経済は逆風下でも成長できる。2014年度の日本経済は、実質GDP成長率はプラス1%を保ち、ゼロ成長を回避できると筆者は予想している。
米国が世界経済を牽引する
「日本経済の回復が続く」と考える一つの理由は、輸出回復に期待できることである。2014年は、世界経済を取り巻く環境については明るい点が多い。米FRBの金融緩和策は縮小に向かうが、米国を中心に世界経済は安定さを増し、景気回復を阻害するリスクは小さくなっている。
世界経済を牽引するのは米国経済だ。2014年の実質GDP成長率は3%を超えると予想される。(1)2013年前半に大きく足を引っ張った緊縮財政が和らぐ、(2)家計部門のバランスシート健全化が進み、低金利政策によって、住宅などの総需要を押し上げる効果が強まるためである。
また、世界経済の回復に加え、アベノミクス発動によってデフレ予想が後退、2013年に20%前後進んだ円安は、引き続き、日本の輸出企業の価格競争力を改善させる。円安が輸出数量を押し上げる効果は、半年から1年程度のタイムラグをもって顕在化するが、これが2014年から強まることが輸出拡大を後押しする。
日本経済の回復を後押しする、もう一つの要因は、プラス2%のインフレ目標を実現するまで強力に続く、日本銀行の金融緩和策によって、景気刺激効果が広がることだ。
個人消費は一足早く回復したが、2013年後半からは、高価格帯のモノの売れ行き好調から、企業による価格転嫁が容易になる動きが広がっている。食料品やエネルギーを除いた消費者物価(米国式コア指数)は前年比プラス0.6%と、15年ぶりの水準まで伸びた。
アベノミクスによる金融政策の波及効果は明らかで、約20年ぶりに「デフレが今度こそ止まりつつある」と感じる人々が、消費を支えているのだ。確かに、消費増税で個人消費の減少は避けられないかもしれない。
だが、増税分が2%(3%→5%)だった1997年度よりも、2014度の個人消費の落ち込みは限定的に止まるはずだ。
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