TOB不成立の廣済堂、株主総会の「同床異夢」

経営方針めぐり、大株主3者の意見対立も

会社側はベインのTOBに賛成し、現社長の土井常由氏も非公開化後に一部出資する計画だった。一般的に言って、会社側が賛同意見を付したTOBは成功する確率が高いが、今回はTOB開始直後から次々とケチがついた。

まず、公開買付価格は610円と、TOB開始前3カ月平均株価に対するプレミアムは約4割。決して低い水準ではなかったが、TOB開始3営業日目には株価がTOB価格を突破してしまった。

株価がTOB価格を上回るということは、市場はTOB価格が安すぎるというメッセージを発していると言っていい。火葬場を経営する廣済堂の子会社・東京博善の企業価値を加味すれば、ベインが提示するTOB価格は安すぎるという指摘は、TOB開始直後から市場関係者の間でささやかれていた。

村上世彰氏も参戦し、TOB不成立に

2月6日には村上世彰氏率いるレノが、廣済堂株式を5.83%保有していることを記載した大量保有報告書を提出して参戦。TOB開始1カ月後の2月18日には、社外監査役の中辻一夫氏と櫻井美江氏がTOBに反対を表明した。

ベインはその後、公開買い付け期間を2度延長し、TOB価格も610円から700円に引き上げた。3月20日には、レノの共同保有者である南青山不動産が、TOB価格750円で対抗TOBを開始した。

しかし、4月8日で終了したベインのTOBだけでなく、5月22日に終了した南青山不動産のTOBも不成立に終わった。南青山不動産のTOB価格は成立見込みの低い価格だったが、ベインのTOBを潰す効果を狙ったのであれば十分にその目的は果たしたと言える。

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