TOB不成立の廣済堂、株主総会の「同床異夢」 経営方針めぐり、大株主3者の意見対立も
もっとも、誰の推薦かが不明なのが松沢淳氏。松沢氏は現在、すみれパートナーズというファンド運用会社の代表を務めているが、2017年9月から2018年5月ごろまでラオックスの経営企画部長を務めていた。会社側は「松沢氏が誰の推薦かはコメントを控えたい」というが、もし廣済堂の経営権をめぐる争いにラオックスが参戦しているのであれば、同じ船に乗るプレーヤーは3者から4者に増える。
ベインによる買収では手を組んだ3者だが、廣済堂の将来展望が異なることは明らかだ。櫻井氏は夫が残した印刷事業、出版事業、火葬場事業の3事業で今後も事業を継続し、上場も維持したい意向を持っているが、レノはファンドである以上、転売しやすい非公開化や解体を主張するとしたら、櫻井氏と意見が対立する可能性がある。
最初の大仕事は東京博善の完全子会社化
低採算の印刷事業や出版事業をどうするのかでも意見が分かれる可能性はある。澤田ホールディングスの意向やラオックスの羅怡文社長の参戦もあるのなら、彼らの意向がどうなるのか。
虎の子の子会社・東京博善について、廣済堂は発行済み株式総数の61.4%を保有しており、あと5.3%取得できれば少数株主から強制的に保有株を取得し、100%支配することができる。東京博善の完全子会社化が新経営陣にとって最初の大仕事になる可能性はある。
しかし、澤田氏とレノ、櫻井氏が同じ船に乗っていられるのはおそらくここまでだろう。今や構造不況業種となっている印刷事業や出版事業の立て直しは容易ではなく、廣済堂の経営方針をめぐり、早晩第2ラウンドのゴングが鳴るに違いない。
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