TOB不成立の廣済堂、株主総会の「同床異夢」 経営方針めぐり、大株主3者の意見対立も

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旧経営陣のうち、非常勤と社外の取締役2人は退任するが、プロパーの取締役で退任するのは土井常由社長のみ。根岸千尋常務は社長に昇格し、ベインによるTOBを積極的に推進したとされる小林秀和氏、大曲伸幸氏も留任する。渡邊義和氏は廣済堂本体の取締役ではなくなるが、主要子会社・東京博善の代表取締役社長に就任する。

監査役もプロパーで常勤の中井章氏は留任、社外2人のうち円谷智彦氏は退任するが、ベインによる完全子会社化に反対した中辻一夫氏は社外取締役に転じる。

新経営陣の布陣は、「(創業株主である櫻井美江氏が)実務に携わっているプロパー役員の留任を強く望んだ」(櫻井氏の代理人である大塚和成弁護士)ことが影響している。

経営は3者の「呉越同舟」

新経営陣のうち、プロパーを除く4人の新任取締役と2人の新任監査役は全員非常勤で、独立性基準も満たしているとはいえ、それぞれに誰の推薦かはほぼ推測できる。

中辻氏はTOBに反対を表明したときから櫻井美江氏の意向の代弁者だったし、渥美陽子弁護士はレノが証券取引等監視委員会から強制調査を受けた際の代理人弁護士である。

加藤正憲氏は澤田ホールディングスがかつて筆頭株主だったアスコット(ジャスダック上場)の子会社の監査役を務めているが、推薦したのは大塚弁護士だ。沼井英明弁護士も大塚弁護士のかつての部下、検事出身の神垣清水弁護士も大塚弁護士の推薦である。まさに拮抗する3者の「呉越同舟経営」であり、船頭役はとりあえず大塚弁護士が引き受けている形と言っていい。

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