スターアジアvs.さくら、Jリート再編劇の行方 成長は手詰まり、小型リート再編の序章か

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スターアジア側の提案が認められたとしても課題は残る。1つの運用会社の下にスターアジア、さくらの2つの投資法人がぶら下がる形となるため、物件を取得した際にどちらの資産に繰り入れるかが問題となるからだ。現在、複数の投資法人を運用する運用会社は存在するが、買収によって途中から運用会社が同じになることはまれだ。

「オフィス専門」「商業施設専門」など、投資対象を明確に線引きをしたうえで複数REITを運用する例もあるが、スターアジア、さくらの保有物件はともに総合型で、オフィスや商業施設、住宅など似通っている。「収益のいい物件がスターアジアばかりに回されてしまうなど、利益相反が起こる」(マーフィー氏)と懸念する。

関東財務局は「いつ判断を下せるかわからない」

この点、スターアジア側は「双方のREITに交互に物件を供給していくローテーション・ルールを採用するため問題はない」(杉原氏)と反論する。

今回の合併提案は制度の空隙を突いた奇襲か、それとも小型リート再編の号砲なのか。スターアジアが目指す投資主総会招集の可否について、申立先である関東財務局は「双方の意見を聴取しつつ、検討を進める。(投資主総会の招集請求は)前例がなく、いつ判断が下せるかはわからない」としており、判断を留保したままだ。スターアジアは来年2月にも合併を完了させる工程表を描くが、想定どおりに事が運ぶかどうか見通せない。

一井 純 東洋経済 記者

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いちい じゅん / Jun Ichii

建設、不動産業の取材を経て現在は金融業界担当。銀行、信託、ファンド、金融行政などを取材。

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