スターアジアvs.さくら、Jリート再編劇の行方 成長は手詰まり、小型リート再編の序章か

拡大
縮小

合併をめぐる一連の騒動は、REITを取り巻く苦境を象徴している。

日本の不動産価格は近年上昇を続け、純収益を物件価格で割った利回りには下押し圧力がかかる。ある不動産ファンドの社長は「物件取得の基準には期待利回りで4%台を念頭に置いているが、(投資基準に)合う物件はそうそうない」と話す。

2016年9月の上場以来、合併提案を受けるまでにさくらが新規取得した物件はわずか1件。物件取得の失敗を差し引いても、さくらにとって成長の道筋が描きづらい状況に変わりはない。

物件取得が難しく、スポンサー頼みに

市場から自力で物件を取得することが難しければ、資産運用会社の大株主であるスポンサーからの物件供給が貴重な取得機会となる。デベロッパーなどがスポンサーの場合、デベロッパー自らが開発した物件をREITに売却する例が多い。

例えば、野村不動産は4月25日に発表した中期経営計画で、自社で開発・賃貸していたオフィスや賃貸住宅などの物件を、傘下REITへ売却することを加速させると発表した。デベロッパーにとって不動産が「売り時」であることは、裏を返せばREITがその受け皿になれるチャンスでもある。

さくらの場合、オーストラリアの独立系不動産ファンドである「ガリレオ」と、建物管理大手の「日本管財」がスポンサーだ。このうち後者は保有物件の管理が主であり、ガリレオの本業は不動産ファンドの運営で開発は本業ではない。

次ページ自力での成長頭打ちで合併に踏み切る
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT