物事が続かない人が性格変えても続かない理由 誰と過ごしどこに住みどこで働くかで変わる

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心に効く力⑦「ルーチン化する」

人間の脳は、効率を求めようとするもの。よって、できる限り、同じことを最小限の労力でしようとする。同じものを何度も見る、聞く、匂いを嗅ぐなどすると(本人が自覚していなくても)脳はそれに次に出会ったとき、何も考えなくてもとっさにそれを認識できるように、その情報を記憶するわけである。こうしたルーチン化は、「成し遂げる力」を高めることに役立つそうだ。

人間の脳は驚くほど効率的だ。脳が“考えずに物事を行える仕組み”を用意してくれるおかげで、人は物事を続けやすくなる。(中略)脳は物事を簡単にしようとする。何かを見る、聞く、嗅ぐなどを繰り返すと(たとえ本人が無自覚であっても)、脳はこの情報を記憶し、すぐに取り出せるようにする。新しいこと(「曲の最初の数小節を演奏する」など)を学ぶと、ドーパミンなどの神経伝達物質を分泌してその努力に報酬を与えて、それを繰り返させようとする。(246ページより)

サトウカエデの葉との違い

大きなサトウカエデの樹に生える、鮮やかな緑色の一枚の葉。季節の移ろいに合わせて、その色は緑色から黄色、赤色、茶色へと変化する。やがて一陣の風に吹かれて宙に浮き、重力に引っ張られて土の上へと舞い落ちる。それから数日間、葉の運命はさまざまな力に委ねられる。強風、地面を踏みしめる人の靴、子供たちの手ーー。結局、草むらの上に落ち着いたところ、通りかかった犬におしっこをかけられる。(307ページより)

私たちの人生は、木の葉によく似ているとヤング氏は言う。人間はさまざまな力の影響を受けており、誰と時間を過ごすか、どこに住み、どこで働くかによっていろいろなことが変わるということだ。

『『UCLA医学部教授が教える科学的に証明された究極の「なし遂げる力」』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

そして私たちは物事を続けられない、人生を自分の手でコントロールできないと感じてもいる。

しかし、ここで見逃すべきではない重要なポイントがある。葉っぱと違って、人間には脳があるという事実だ。だから、自然の力は変えられなくても、「どの力から影響を受けるか」を選ぶことはできる。そして「心に効く7つの力」モデルを使えば、状況にふさわしい心理的力を自分の味方にできる。

行動は簡単には変えられないし、本書を読んだだけで、何の苦労もなく望みどおりの完璧な行動がとれるわけでもないだろう。しかし、それは“実現可能”なことであり、それこそが重要なのだとヤング氏は訴えているのだ。

印南 敦史 作家、書評家

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いんなみ あつし / Atsushi Innami

1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。「ライフハッカー・ジャパン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.jp」「文春オンライン」などで連載を持つほか、「Pen」など紙媒体にも寄稿。『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(PHP文庫)、『いま自分に必要なビジネススキルが1テーマ3冊で身につく本』(日本実業出版社)『「書くのが苦手」な人のための文章術』(PHP研究所)、『先延ばしをなくす朝の習慣』(秀和システム)など著作多数。最新刊は『抗う練習』(フォレスト出版)。

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