物事が続かない人が性格変えても続かない理由 誰と過ごしどこに住みどこで働くかで変わる

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注目すべきは、その「心に効く7つの力」の相乗効果である。もちろん1つだけでも有効ではあるものの、2つ、3つと数を増やしていくほどに効果はより高まっていくというのだ。

しかもその方法を用いると、人は望ましい行動を3倍も続けやすくなり、暮らしのあらゆる場面に生かせるのだという。本当にそんなことが可能なのかと疑いたくもなるが、それが「なし遂げる力を高めるための科学的に正しい方法」であることを、本書においては原理と合わせながら説明しているのである。

心に効く7つの力

ヤング氏はここで、統計によって明らかになった2つの事実を紹介している。まず1つ目は、ダイエットを始めた人の4割が1週間以内に挫折し、半数以上がダイエット開始前より体重を増やしているということ。そしてもう1つは、リピート客を増やせず倒産に追い込まれる企業が後を絶たないということだ。

こうしたことからも推測できるように、人が何かを続けられないことは、社会全体でみると年間数十億ドルもの莫大な損失を生じさせているというのである。

とはいえ、個人のダイエットの問題と、企業の倒産の問題を並列するのはどうかという気もする。両者は規模が違いすぎるし、そもそもこうした問題は一つひとつ異なっており、失敗の原因もそれぞれ違うように思えるからだ。

だが、問題のカギは共通しているのだという。それは、「人が何かを途中でやめてしまう」ということ。逆にいえば、あらゆる問題を解決するためには、「成し遂げる力」を高めるための科学的な裏付けのある方法が必要だということだ。

この問いに対する世間一般の答えは、「性格を変えろ」だ。強い意志と困難を乗り越えられる情熱があれば、誰でも物事を続けられるはずだ、と。つまり、方法ではなく、人を変えろというのだ。しかし、人間は一人ひとり違うし、性格もさまざまだ。性格は一生を通してほとんど変わらない。(5ページより)

だが、心配は無用だとヤング氏は言う。何かを続けるのに性格を変える必要はなく、科学的な裏付けのある方法を、自分に合った形で取り入れればよいというのだ。すなわち、それこそが本書が明らかにしている「心に効く7つの力」。

心に効く力①「目標を小さく刻む」
心に効く力②「コミュニティ」
心に効く力③「重要性を認識する」
心に効く力④「簡単にする」
心に効く力⑤「ニューロハックス」
心に効く力⑥「夢中になる」
心に効く力⑦「ルーチン化する」
(6ページより)
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