自動車教習所が窮地に!「免許離れ」が深刻化 「もはや少子化だけが原因ではない」
「もはや少子化だけが原因ではない」――。ある自動車教習所の関係者はこう漏らす。
自動車の販売不振が深刻化する中、自動車教習所もかつてない苦境に立たされている。警察庁が発表した運転免許統計によると、公安委員会が認定した指定自動車教習所の卒業者数は20年前に260万人超だったのが、2007年末には約178万人にまで縮小。背景には、自動車免許の取得年齢である18歳人口の減少がある。だが、「特に去年からの入学者数の落ち込みが激しい」と教習所関係者は口をそろえる。「07年も入学者数は対前年比で3%減。でも08年は10%以上落ち込みそうだ」(東京都内の教習所)。
都心でも地方でも激化する値下げ競争
自動車業界では以前から、若者のクルマ離れが販売低迷の原因に挙げられてきた。だが今年はそれに不況が重なり、教習所にすら通わない「免許離れ」が深刻化している。今や若者のおカネの使い道として優先順位が高いのは、パソコンや就職に有利な資格取得。自動車免許取得は後回しだ。ある教習所の経営者は「もはや免許は必要ない時代に入った」と嘆息する。
生徒数の急激な落ち込みで、業界の構造的な問題も浮き彫りになっている。教習所数の供給過剰である。
戦後、教習所は「国策」として増やされてきた経緯がある。モータリゼーションが進んだ1960年代、都道府県の公安委員会は民間の教習所に、「指定業者」として卒業生に技能試験を免除する資格を次々と与え、膨張する免許人口を支えてきた。その結果、60年にわずか125カ所だった指定教習所は、73年には1300カ所にまで急増。「その頃は畑を潰して教習所を作れば儲かったので、たくさんの地主が手を挙げた」と別の経営者は振り返る。
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