自動車教習所が窮地に!「免許離れ」が深刻化 「もはや少子化だけが原因ではない」

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新市場開拓に意欲的な教習所もある。東京のコヤマドライビングスクールでは、日本在住の外国人向けに英語での教習プランを設置。また企業向けの安全運転講習や子育てママ、障害者向けなど多くのプランをそろえ、「運転を切り口にいろいろやれることを考える」(小山甚一社長)。

過度の値下げはサービスの劣化を招く

だが、「そうした知恵のあるサービスは業界ではまだ一部」と、教習所業界に詳しいモータージャーナリストの菰田(こもだ)潔氏は語る。菰田氏は教習所に新たな経営の柱が育たない背景として、長年の体質の問題を指摘する。「教習所は数十年間、公安委員会のガイドラインに従っていればよかった。そのため“知恵”が必要な時代になっても、アイデアを生み出せない」。

過度の値下げはサービスの劣化を招き、運転教習の要である「安全」にも影響を与えかねない。今年も2~3月の繁忙シーズンを迎えるが、免許離れが深刻化する中、安さ以外の新たな魅力を提示できるか。教習所の“知恵”があらためて問われている。

許斐 健太 『会社四季報 業界地図』 編集長

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このみ けんた / Kenta Konomi

慶応義塾大学卒業後、PHP研究所を経て東洋経済新報社に入社。電機業界担当記者や『業界地図』編集長を経て、『週刊東洋経済』副編集長として『「食える子」を育てる』『ライフ・シフト実践編』などを担当。2021年秋リリースの「業界地図デジタル」プロジェクトマネジャー、2022年秋より「業界地図」編集長を兼務。

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