自動車保険、値上げが止まらないワケ 増税だけではない、値上げ背景の重層構造

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高齢者の増加で、中期的に損害率は悪化する傾向 (撮影:尾形文繁)

自動車保険は値上げが恒常化している。平均保険料は2008年度に比べ12年度は10%上昇した。ここ2~3年も値上げラッシュのため、平均保険料は13年度以降も上がり続けているはずだ。

損害保険収入の半分を占める自動車保険は慢性赤字が続いてきた。元凶は10年度まで一本調子で上昇した損害率(保険料収入に占める保険金の割合)の悪化だ。その根っこには事故発生率の高い高齢者比率の上昇がある。ただでさえ人口の減る若年層の保険加入は若者の自動車離れもあって細り、自動車保険でも少子高齢化が進む構図がある。

少々の事故なら請求しないケースも

収支改善には、長い時間をかけた値上げが不可避だった。12年10月には損害保険料率算出機構(算出機構)が“ウルトラC”を繰り出した。等級別料率制度の改定だ。事故保険金の支払いを受けた契約者の翌年度以降の保険料の割引率を、従来と比べ大幅に縮小するというもの。ユーザーにとっては大幅値上げに等しい。保険料がハネ上がるのを嫌い、「少々の事故保険金なら請求しないケースが増え、損害率の低下につながっている」と業界関係者は言う。

12、13年度はこうした合わせ技で損害率は大幅に下がり、13年度は自動車保険全体でやっと赤字を脱したもよう。消費増税に伴う部品代・修理費など保険金単価の上昇要因はあるが、14年度も各社が軒並み値上げを実施しており、損害率の低下が続く公算は高い。

となれば、「値上げにもやっと終止符か」とユーザーは期待するが、それはかなわないかもしれない。来年消費増税となれば今年同様の値上げはほぼ確定だ。「自動車保険の利益水準はまだ不十分」「部品代・修理費など保険金単価のアップは続く」という声も業界内部から漏れてくる。

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