テレビ番組の「個人視聴率」が語られない不毛

世帯視聴率は消滅、計測は「個人」にシフト

世帯視聴率は今後、テレビがどれだけ視聴されているかの適切な尺度ではなくなるかもしれません(写真:TAGSTOCK1/iStock)

本連載では何度か、視聴率が世帯から個人にシフトしていることを書いてきた。おさらいすると、関東ではすでにスポット取引の指標に個人視聴率が使われている。タイムシフト視聴率も加算され、「P+C7」(※リアルタイム視聴に加えて、タイムシフト視聴でのCM視聴率を放送後7日カウントすること)と呼ばれる指標が稼働しているのだ。

さらに関西・中京地区でもすでに個人視聴率の計測はスタートしており、北部九州地区でもこの4月から個人視聴率が計測されるようになった。来年4月には全国の個人視聴率が計測される。

取引への反映が、いつから各地区で行われるのかはおそらく調整中だろう。だがとにかく、これから1〜2年かけて日本で視聴率といえば世帯ではなく個人にシフトしていく。世帯視聴率を使う場がどこにもなくなるのだ。それなのに、対外的にはそのことが明確に示されていない。いま、その弊害が起きていると思う。

テレビの見られ方の多様化

なぜ長らく使ってきた世帯視聴率を個人視聴率に変える必要があるのだろうか。テレビの見られ方が多様化したからだ。

『GALAC』2019年7月号の特集は「決定!第56回ギャラクシー賞」。本記事は同特集からの転載です(上の雑誌表紙画像をクリックするとブックウォーカーのページにジャンプします)

一昔前、テレビは家族で同じ番組を見るものだった。私が子どもの頃、70年代の家庭ではゴールデンタイムの番組は家族そろって見ていた。

ところが90年代あたりから番組によって見る家族が違う傾向が出てきた。お父さんしか見ないもの、娘や息子がとくに見るものと、番組ごとに視聴傾向が分かれてきた。父母と子ども2人の標準世帯が標準でなくなり、単身世帯が増えたことも大きい。

そこで、F1(女性20~34歳)、M3(男性50歳以上)などと視聴者を性年齢で区切ったデータも世帯視聴率とは別に大都市圏だけで取るようになった。当時からすでにCMを出稿するスポンサー企業は、F1が欲しいとか、M3はいらないなどと、CMを見せるターゲットを絞りたがっていた。

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