「怒らない子育て」を実践するちょっとしたコツ 記録をつければイライラの正体がわかる

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幸子さんに言われたとおり、「怒りの記録」をつけ始めたみちるさん。ずいぶんたくさんのことにイライラしている自分に気づき、唖然としてしまいます。実は、感情には2つの種類があります。不安、悲しみ、苦痛、ストレス、寂しさ、絶望などは第1の感情。そして、この第1の感情を元にして感じるのが怒りです。つまり怒りは第2の感情なのです。

例えば、日が暮れても子どもが帰ってこないとき、「どうして帰ってこないのかな。連絡もしないで」「帰ってきたら厳しく言わなくちゃ」とイライラしたとします。このイライラの第1感情は心配です。子どもに何かあったのではないかと心配しているのです。

期待が第1感情のこともある

時には期待が第1感情のこともあります。例えば、ジュースをこぼした子どもに対する第1感情は「落ち着いた行動のとれる人になってほしい」でしょう。でもそれが裏切られたためにイライラして、「何やっているの!」と言うことになります。できない子ども、自分の言ったとおりにやらない子どもに対して、親が腹を立てているということになるわけです。

こうして怒りの陰に隠れている自分の本当の気持ちに気づき、その気持ちを素直に表出することで、怒りとは違うコミュニケーションをとることができます。

宿題をしない子どもに対して「勉強しなさい!」と怒鳴るのも第2感情ではないでしょうか。

私も息子には、自分が勉強に対してどう思っているのかという第1感情を伝えていました。

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「パパも小さいころはあまり勉強しなかった。おばあちゃんは『勉強しろ』と言わなかった。そのときは楽しかったから、よくわからなかったけれど、大きくなってとても後悔している。

今さらなんだけど、パパが嫌がっても『勉強はやったほうがいい』と言ってくれればよかったと思う」

このように「もっと勉強すればよかった」という後悔を伝えました。すると意外な一言が返ってきてびっくりしました。

「さすがに最近まずいと思うんだよね」

「何が?」

「だって勉強してないじゃん」

いい気づきだと思いました。そう感じているなら、いつかスイッチが入り、勉強をやりはじめるでしょう。小学校中学年くらいになると、こうしたコミュニケーションがとれるようになります。

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