「怒らない子育て」を実践するちょっとしたコツ 記録をつければイライラの正体がわかる

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私は「怒らない技術」のセミナーで「『薔薇』という字を書いてみてください」と言います。多くの人は漢字のイメージは湧きますが、正確には書けません。要するにわかっていないということです。怒りも同じ。イライラや怒りの感情を、ぼんやりととらえるのではなく、正体をはっきりさせることで対処法がわかります。

まず自分の怒りについて理解するために、どんなことに怒ったのか、なぜ怒ったのかを知ることが大切です。いつ、どこで、どんなときに、どのくらい怒ったかを記録していくと、自分の怒りの傾向がわかり、イライラや怒りを少なくしていくことができます。

「自分はこういう場面で怒りやすい」というパターンがわかれば、それを回避することもできます。「怒りの記録」は、例えば次の項目に沿って書き出します。

1、怒ってしまった出来事
2、そのときどう感じたのか
3、実際はどうしてほしかったのか
4、 そのどうしてほしかったかを実現するために何をしたらいいか

具体的にみてみましょう。21時に寝る約束の子ども(恭介くん)がその時間になってもゲームをやっていました。あなたはついつい「21時には寝るって言ったでしょ!」と怒ってしまいました。そんなとき、ノートにはこのようにまとめるといいでしょう。

1、子ども(恭介)が寝る準備をなかなかしなかったことに対して
2、どうして毎回同じことを言わなきゃいけないの?
3、寝る時間は21時と約束している。時間を見て行動してほしかった
4、時間を伝えるだけではゲームは夢中になってしまうので、一緒に時計を確認

書きためて定期的に見返す

「怒りの記録」は書きためて定期的に見返します。すると自分がどのくらいの頻度で怒っているか、どういう状況でイライラしやすいかがわかります。自分を一歩離れたところから客観的に見ることができます。

例えば、子どもに対して怒ったことの原因が夫にあるとわかることもあります。夫が育児に対して理解がなくてイライラしているところに、子どもがテーブルクロスにペンで落書きをしてしまった。普段ならそれほど怒ることでもないのに、ベースの感情がイライラしていたために、大爆発してしまったというケースです。

「怒りの記録」をつけると、「どうすれば怒らなかったか」「イライラを減らすにはどうしたらいいか」が頭に浮かぶようになります。そして数日後……。

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