日本人がまだ知らない「30%クラブ」の本気度

機関投資家が注視する出世の「パイプライン」

投資家たちが力を入れる「30%クラブ」とは?(撮影:梅谷秀司)

企業は女性役員をどこまで増やすべきか――。政府主導で渋々”やらされる”のでなく、経済合理性を感じて自発的に動く企業も増えるなか、この5月、ある取り組みがスタートした。上場企業の女性役員割合を30%に増やすことを目指す世界的な活動、「30% Club」が日本にも上陸したのだ。

もともと英国で2010年に始まった取り組みで、これまで世界13カ国・地域で展開。ヨーロッパにおいて、議会や取締役会に占める男女の割合を規定するクォータ制を導入する国が増えるなか、役員に占める女性割合を増やすことに貢献してきた。

会員は社長など企業トップに限定。目標達成のため自主的な取り組みを行い、会員間の情報交換を通じて効果的な施策を共有する。

イギリスでは当初FTSE100(ロンドン証券取引所上場の時価総額が大きい100社)の女性役員比率が12.6%だったが、8年後の2018年には30%に到達した。

アメリカ、オーストラリア、カナダ、アイルランド、香港などの英語圏先進国・地域に加え、トルコ、中東の湾岸協力理事会、マレーシア、南アフリカ、ブラジルなどの新興国でも30%クラブが発足し、女性役員3割に向け地域特性や文化を踏まえた取り組みを行っている。

特徴は、ジェンダーの課題を緊急かつ優先度の高いビジネス課題と認識すること。役員の多様性はよりよい意思決定につながり、中長期的には企業業績向上と株主利益の最大化をもたらす、という各種データに基づく信念が背景にある。持続可能な成長を求める市場原理に基づく企業のガバナンス改革ともいえる。

重要な役割を果たすのが機関投資家だ。30%クラブ日本の機関投資家が作るグループ「インベスター・グループ」のチェア(会長)を務める在日代表カントリーエグゼクティブ兼東京支店長ニューヨーク・メロン銀行のダグラス・ハイマス氏に話を聞いた。

印象に残っている5人の女性たち

――金融機関の経営者として、女性リーダーを増やす必要性を感じますか。

ハイマス:もちろんです。現在、私が経営する会社の従業員に占める女性比率は55%です。中間管理職は36%、上級管理職は15%と、上にいくにつれて女性が減ってしまいます。このままではいけない、と思っています。

これまで、多くの人材の採用や昇進に関わってきました。そのなかには女性もたくさんいました。

なかでも、とくに印象に残っている女性が5人います。彼女たちは私が要請したマネジャーへの昇進を断ったのです。理由を尋ねてみると、1人は「家族の事情」ということでした。それは尊重しなくてはいけない、と思いました。一方で、残りの4人が昇進を断った理由は「自信がない」ということでした。

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