日本の消費税の議論はなぜ「こんなに的外れ」か

消費増税の前に「最低賃金5%アップ」せよ

実際どのぐらいの中小企業で対応が難しいのかを示すエビデンスと、対応できるようにするための政策はないのか、お考えを示していただきたいと思います。生産性向上を応援する政策を実行することによって企業に変革を促し、現状では対応できない企業も対応できるようにする道があるのではないでしょうか。

最低賃金5%アップは、月額たったの8000円程度

日本の人材は世界第4位、国際競争力は第5位と、大変高く評価されています。しかし一方で、生産性は第28位と下位に低迷しています。こんなに人材の質と生産性が乖離している国は、世界中を探してもほかにはどこにもありません。正に異常です。

日本人の給料は同じレベルの生産性の国と比べても、7割程度に抑えられているのが現状です。しかも、そういう国よりも国際競争力は日本のほうが上なのです。

そんな日本において、最低賃金の引き上げは本当に大きな負担なのでしょうか。

仮に最低賃金を5%引き上げると、東京であれば1人当たり1時間49円、人件費として企業の負担が増えることになります。年間の労働時間が2000時間の場合、年9万8500円が企業の負担増になりますが、1カ月に直すと、たかだか1人あたり約8210円の増加です(次ページに全都道府県データを掲載)。

月額8210円の給与の引き上げができないなんて、経営者として情けないとしか言いようがありません。この程度の給料の引き上げ分を他から捻出できない経営者は、才能がなさすぎます。こんな無能な経営者には、人を雇う資格はありません。

今、日本はいろいろな業界が人手不足で苦労しています。日本ではこれから人口の減少が本格化するので、人手不足が解消されることは、当分の間ありません。

このように労働市場の需給がひっ迫しているにもかかわらず、月額8000円程度の給与引き上げのできない会社で働いている人は、安い給料でも働いてくれる外国人労働者が大量にやってくる前に、とっとと正当な給与の引き上げができる会社に移るべきです。

いずれにせよ、今後の日本では社会保障の負担が間違いなく増加します。増える負担を吸収するためには、給料の引き上げが絶対に必要です。

日本は世界第3の経済大国です。経済大国である理由として、日本人の勤勉性や優秀さ、または技術力を自慢げに語る人がいますが、3%、月間4500円弱の賃金引き上げが精一杯だというのは、完全に矛盾しています。

この20年間、先進国の企業は給料を約80%引き上げてきましたが、経済は非常に順調です。一方、日本は9%引き下げてきました。その日本がいまだにデフレからは抜け出せていないのは、ご存じのとおりです。

先ほども説明しましたが、日本の人材の質は世界第4位で、大手先進国ではトップです。その優秀な人材に対して時給874円(加重平均)、2000時間働いて年間175万円しか払えないというのであれば、そんな経営者はこの国の恥さらし以外の何物でもないのです。

結論として、私は消費税増税に賛成でも、反対でもありません。なぜならその問題の立て方自体がおかしいからです。私の立場を一言で言えば、「給料が増税分以上に上がるなら賛成、上がらないなら反対」です。

次ページ全都道府県の「最低賃金5%アップ」時の給与増
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