ドイツ政権崩壊へのカウントダウンが始まった

連立のSPD党首辞任、次期首相候補も脱落か

秋以降に連立解消・総選挙か。メルケル首相の辞任も早まる恐れ(写真:REUTERS/Fabrizio Bensch)

欧州の要、ドイツの政治安定が揺らぎ始めている。中道右派のキリスト教民主/社会同盟(CDU/CSU)と中道左派の社会民主党(SPD)の2大政党による大連立政権が再び崩壊の危機に瀕している。

大連立への参加で独自色の発揮に苦慮しているSPDは、昨年4月にアンドレア・ナーレス元労働・社会相を初の女性党首に選出し、党の再建を託してきた。だが、ナーレス党首の就任後もSPDの党勢凋落に歯止めが掛からずにいる。先の欧州議会選挙での同党の得票率は15.8%と実に1887年以来の歴史的な低水準を記録し、全国区の選挙では第2次大戦後で初めて第3党に転落した。同日行われた自由ハンザ都市ブレーメンの州議会選挙でも70年以上にわたって維持してきた第1党の座を明け渡した。

こうした選挙戦の敗北を受け、ナーレス党首は自身が務める党議員代表の選出手続き(信任投票)を4日に前倒しで行うと発表し、党内の不満の声を鎮めようとした。だが、その後に党幹部との協議の結果、もはや党内で十分な支持が得られないことが明らかになったとし、2日には党首と党議員代表をともに辞任することを表明した。

苦戦のSPDに代わって躍進する「同盟90・緑の党」

ナーレス氏は大連立への参加をめぐって意見が割れる党内をこれまでまとめてきた人物だ。同氏の辞任により、連立解消を求める党内の左派勢力が勢いを増すことは避けられない。後継党首候補に名前の挙がるオラフ・ショルツ副首相兼財務相は、ナーレス氏同様に大連立の推進派で、3日に就任の可能性を否定した。党幹部は現時点で後継党首の選出方法について結論に至っていないが、4日に予定された党議員代表の選出手続きは延期され、夏休み後に党大会を開催し、新たな党首と党議員代表を選出することなどが検討されている。

その間の党運営は暫定的にラインラント=プファルツ州のマル・ドライヤー州首相やメクレンブルク=フォアポンメルン州のマヌエラ・シュヴェーズィヒ州首相などが合議制で担い、党議員代表はロルフ・ミュッツェニヒ議員が暫定的に務める。党の重鎮や州首相として実績を残している大物議員が次期党首から除外される可能性がある。

連立を継続するか否かの最終判断は新党首の選出後となりそうだが、9月1日のブランデンブルク州とザクセン州、10月27日のテューリンゲン州の州議会選挙の結果も、党の方針に影響しそうだ。州議会選挙に関する世論調査によれば、SPDはブランデンブルク州でこそ、連立を組むCDU/CSU、移民の受け入れに批判的な右派ポピュリスト政党・ドイツのための選択肢(AfD)、旧東ドイツの支配政党などを源流とする左翼党(Linke)と接戦を繰り広げているが、残りの2州では第4党に転落する恐れがある。

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