ドイツ政権崩壊へのカウントダウンが始まった

連立のSPD党首辞任、次期首相候補も脱落か

辞任したSPDのナーレス党首(写真:REUTERS/Michele Tantussi)

秋の州議会選挙は主に旧東ドイツ地域で強いAfDや左翼党との戦いになるが、最近、連邦レベルでSPDの脅威となっているのが、環境政党である同盟90・緑の党(Grüne)だ。同党は先の欧州議会選挙でSPDに代わって第2党の座を獲得した。20.5%の得票率は、国政レベルの選挙で同党発足以来の過去最高記録である。

いま欧州では気候変動対策の強化を求める運動「未来のための金曜日(Fridays for Future)」が各国で広がっている。スウェーデンで昨夏に15歳の少女グレタ・トゥーンベリーさんが始めた国会議事堂前の座り込み運動は世界的な共感を呼び、ドイツでも昨年末頃から学生を中心に各地で開かれている。元々ドイツは環境意識の高い国だが、各種の世論調査でも気候変動対策が有権者の最大の関心事に挙げられ、投票行動にも大きな影響を及ぼしている。

さらに、欧州議会選挙の投票直前には、CDUが気候変動対策に十分に取り組んでいないとして批判するユーチューブ上の投稿が話題を呼び、延べ1000万人以上が視聴したとされる。この投稿はSPDを直接の標的としたものではなかったが、緑の党への支持拡大を通じてSPDにも打撃となった可能性がある。その後も緑の党の勢いは止まらず、欧州議会選挙後に行われた世論調査では、とうとうCDU/CSUを抑えて最多の支持を集めるものも出ている。

クランプ=カレンバウアー氏は首相の器にあらず

このユーチューブ動画をめぐる動きは、昨年12月にアンゲラ・メルケル首相からCDUの党首の座を引き継いだアンネグレート・クランプ=カレンバウアー氏の進退にも影を落としている。選挙戦での苦戦を受け、同氏が投票行動に影響を及ぼしかねないインターネット上の発信を規制する可能性に言及したことが、表現の自由を脅かすものとして厳しく非難されているからだ。

一部のメディアは、度重なる失言や選挙戦の失敗を受け、メルケル首相はクランプ=カレンバウアー氏について次期首相として適任でないとの判断に至ったと報じている。首相に近い当局者2名が明らかにしたところによれば、メルケル首相は同氏への禅譲を断念し、任期満了となる2021年の連邦議会選挙まで首相にとどまる決意を固めたとされる。

今後、クランプ=カレンバウアー氏が党首辞任に追い込まれる可能性もあり、後継党首の人選次第では大連立の行方にも影響が出てきそうだ。これまでポスト・メルケルの最有力候補とみられてきた同氏が脱落すれば、ドイツ政局の行方は一段と視界不良となる。

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