レオパレス「3度目の経営危機」に襲われた必然 「特級建築士」創業者に歯止めをかけられず
今回、問題が多発している賃貸アパート「優先調査対象シリーズ」は最初の経営危機後の1994年から2005年にかけて販売された商品だ。
5月29日に外部調査委員会が公表した報告書によれば、レオパレス創業者の深山祐助・元社長(深山英世社長のおじ)が、バブル崩壊後の経営危機を乗り切るために、賃貸アパート建築のコスト削減や工期短縮のために、商品開発の現場に介入してさまざまなアイデアを出した。
深山祐助自身は建築士の資格を持っていなかったが、その豊富なアイディアから「特級建築士」を自称していたという。
だが調査報告書は、深山祐助氏のワンマン経営がまかり通る状況で、歯止めをかけられる人物が存在しなかった点に問題があると指摘する。
ワンマン体制や慢性的人手不足が法令軽視に
賃貸アパート業者の場合、建築部門の粗利益率は2〜3割と、賃貸管理部門の1〜2割を大きく上回る。30年超の長期にわたってオーナーからアパートを借り上げる契約を結ぶ代わりに、自社でのアパート建築が条件となっており、その分利益を乗せやすいためだ。
レオパレスもピークだった2007年3月期には、建築請負部門は売上高3161億円に対し、営業利益746億円を稼ぎ出している。こうした儲かる建築請負事業の拡大が優先され、深山祐助氏のワンマン体制や慢性的な人手不足もあり、行政に出す建築確認申請と実際の建物の仕様が違ったり、建築基準法への準拠といった確認がおろそかになっていた。
調査報告書では、施工不良に気づく機会が何度かあったが、その都度見逃されてきたため、全社的に順法意識やリスク感度が低かったと厳しく指弾している。
そして、深山祐助氏の責任については、違法行為を指示・命令した事実までは認められないとしたものの、「厳しい経営環境から脱却すべく収益の確保を重視し、物件数の早期拡大に重点を置き、十分な商品開発体制、施工管理体制及び工事監理体制を整備すること等を怠った」と指摘した。
当時の経営判断がこうした状況を招いたことについて深山祐助氏は調査委員会のヒアリングに反省の弁を述べたほか、レオパレスを退任した後に創業し、同社とほぼ同じ事業を展開するMDIについても、取締役を3月28日に辞任している。
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