レオパレス「3度目の経営危機」に襲われた必然

「特級建築士」創業者に歯止めをかけられず

今回の事件を機にレオパレスは経営陣を一新する。深山英世氏のほか、社内取締役8人のうち7人が退任し、後任には宮尾文也・取締役が社長に昇格する。宮尾氏は北海道地盤の中道リース出身。レオパレスのグアムのリゾート開発にかかわり、その後同社の経理や経営企画、広報を担当し、現在に至っている。

宮尾氏は東洋経済の取材に対し、国交省の指示通りに夏前までに優先シリーズの補修工事を、10月までに全棟の補修工事を完了させ、「今期中に施工不良問題を収束させる」と明言した。

施工不良問題に片が付けば、空室となっている物件の募集も再開できる。レオパレスは入居率を2019年3月末の84.33%から2020年3月末までに90%弱の水準に戻し、今2020年3月期に売上高5022億円(前期比0.6%減)、営業利益22億円(同70%減)、純利益は1億円の黒字化(前期は686億円の赤字)を見込んでいる。

手元流動性に余裕はない

ただその道のりは険しい。4月末時点で改修着工済みが4342棟、改修済み800棟と、不具合のあった物件全体(現時点で1万5628棟)からすれば、改修の進捗は遅れている。

もう1つの懸念が資金繰りの問題だ。同社の2019年3月末時点の連結貸借対照表では、現預金から有利子負債を引いたネットキャッシュが約500億円ある。ただし、補修工事関連の引当金も約500億円を計上しているため、工事が進めばキャッシュアウトしていく。単純に計算すればネットキャッシュはゼロになる。

この点について宮尾氏は「人件費や広告費の抑制でキャッシュアウトを抑え、自社保有の賃貸用マンションなどを売却することでキャッシュインを増やす」と説明するが、手元流動性に余裕があるとはいえない状況だ。

旧村上ファンド系のレノや共同保有者が株式を買い集め、5月16日時点で16.18%握る筆頭株主に浮上。「村上世彰氏は単身世帯向けアパートの需要は手堅いと見ている」(関係者)。一方で、宮尾氏は「個別の株主の動向については言及できないが、どんな株主とも対話はオープンマインドでやっている。誰とでも対話をするつもりだ」と言及するにとどめた。

また、調査委員会は過去の経営陣の責任を認めているが、レオパレスが会社として責任を追及するかどうかについて、「調査報告書を受け取ったところで内容を精査し、要否を検討する。(検討のメドについても)期限は答えづらい」(宮尾氏)と判然としない。

3度目の危機を乗り切るためには、問題物件の改修だけでなく、経営陣の責任の所在を明らかにすることが必要だ。この点について宮尾氏はどのように答えを出すのか。株主総会が迫る中、やや不安の残る船出と言えそうだ。

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