ロイヤルエンフィールド、新型バイクの正統進化 1960年代を彷彿させるコンチネンタルGT650

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目の前に佇むコンチネンタルGT650は、排気量とともに車体の大型化が進むヨーロピアンバイクとは一線を画すかのごとく予想外にコンパクトだ。それもそのはず、ホイールベースは平均的なこのクラスで考えても短く、エッジの利いた美しいカフェレーサースタイルのガソリンタンクも12.5Lと小振りと言える。

一方、そのエンジンの存在感は近年では見ることのない、むしろ、かつてのエンジンがエンジンらしく振る舞っていた頃の主張を何のためらいもなく乗る者へと伝えてくる。

シート高820mmでカフェレーサースタイルでありながら、足つきも悪くない(編集部撮影)

クランクケース左右のカバーとヘッドカバーは、アルマイトやクリアーペイント等の表面処理はされておらず、美しくポリッシュされており、今後オーナーがなぜにこのバイクと付き合っていくのか問われているようだ。

2気筒のシリンダーはアルミながらブラックペイントされ、かつての鉄シリンダーのイメージ。1枚1枚が丁寧に仕上げられているシリンダヘッドフィンは、自らが空冷エンジンであることをこれ以上ないくらいに見せつけてくる。

重要保安部品のデザインも秀逸で、英国老舗メーカーのスミス社タイプの薄型スピードメーターにタコメーター。ヘッドライトケースも前後に長い砲弾型。テールレンズには英国らしい6角形タイプを採用、小振りながらも前後に長いカフェレーサースタイルのタンクとのマッチングも見事と言える。

国産バイクと比べても遜色ない仕上がり

実際に跨がってみると、トップブリッジ下から伸びたセパレートハンドルは流行のデザインの1つではあるものの、乗り手に負荷をかける程低くはない。クラシックテイストの薄手シートと相まって上体は軽い前傾姿勢だ。ステップ周りも好感の持てる仕上がりだ。ロイヤルエンフィールドのネーミングが刻印されたステップラバーはアルミ鍛造ステップにトランスファー加工されしっかりと踏み込める剛性の高い物。 

左右踵のアルミプレート位置と取り付け強度も好印象、バイクの正しい乗り方が万国共通であることを感じさせられる。ブレーキペダル位置とチェンジペダル位置も国産バイクとなんら違和感のない位置で、走り出す前の印象としては、英国車特有の右チェンジ時代のビックバーチカルツイン的印象とはいい意味での裏切りを感じてしまう。

新設計されたコンチネンタルGTのエンジンスタートはいとも簡単、メインキーを右に回しインジケーターランプの点灯と左スピード、右タコメーターがそれぞれ最高回転まで動いた後に右ハンドルスイッチのセルを押せば一瞬で着火する。一瞬回転計は1800回転まで上がり2秒程で1300回転まで下がりアイドリングを始める。

次ページ走り出しは予想以上にスムーズ
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