ロイヤルエンフィールド、新型バイクの正統進化 1960年代を彷彿させるコンチネンタルGT650

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前後に装着されたブレーキシステムにはABSが装着されておりドイツのボッシュ社が開発。キャリパーはイタリアのブレンボ社のノックダウン生産を行うバイブレ社のブレーキ。

筆者によるコンチネンタルGT650の走行風景。筆者176cm、乗車姿勢も自然だ(編集部撮影)

By bremboがそのまま社名となったバイブレキャリパーは、近年では多くのヨーロッピアンスポーツバイクにも採用されている、安価でありながらも性能が安定しているシステムだ。

実際のところ、ABSの効き具合と合わせて何ら不満のないブレーキと言える。サスペンションはインド製のガブリエル社の物で、フロントは標準的41mmのインナーパイプを採用、減衰調整は付いていないものの、作動性に問題はない。一方リヤサスペンションは、少々減衰力が効いているセットだが、スプリングプリロードは5段階に調整可能。

走り出すとエンジンの特性と合わせて楽しめるのが1980~1990年代に世界グランプリマシンや耐久レースマシンのフレームを手がけたハリスパフォーマンスによってデザインされたフレームだ。ホイールベース1400mmを切るコンパクトな設計ながら安定感も兼ね備えたハンドリングは、前後18インチのピレリファントムと相まって懐かしいフィーリングをライダーに伝えてくれる。

決して、大袈裟にリアクションが帰ってくることはなく、慎ましいとも感じるフロント周りの感性は1960~1970年代後半にトレンドであった弱アンダー気味のコントロール性に優れた物だ。

「楽しさと乗り易さ」を徹底的に追求した割り切り

人の感性を超えて走ろうとしたり曲がろうとするのではなく、バイクと人がコミュニケーションを楽しみながら、目の前にあるコーナーを適切にクリアーして行く……そんな大人がもう1度楽しめるハンドリングと言えるだろう。ハリスパフォーマンスも現在ではロイヤルエンフィールドの子会社となって久しい。

筆者によるコンチネンタルGT650の走行風景。エンジンの低速領域も楽しめる(編集部撮影)

ロイヤルエンフィールドは英国発祥の企業ではあるが、現在はインド有数の優良企業。2輪生産台数は年間80万台。

とは言え、そのスピリッツは、世界中からトップエンジニアを招聘し、サプライヤーもトップブランドを採用。現在では開発を担うテクノロジーセンターは英国内に置き、部品調達と生産をインド国内で行っている。

コンチネンタルGT650に装着されているライダースエイドはABSだけだ。

トラクションコントロールもパワーモード切り替えもない。大排気量高出力化することもバイクの楽しみではあるが、コンチネンタルGTのように排気量を650ccと言うパワー特性をどちらにでも振ることのできる排気量を選びながらも、その中で「楽しさと乗りやすさ」を徹底的に追求した割り切りに感銘をうける。

このマシンに乗ることは、排気量や出力ではない所に楽しさの本質があり、それを感じることのできるオーナーが走らせたときに、人と機械の一体感を感じるのかもしれない。大量生産ではないこだわりのバイク価格は、税込83万9000円からの展開だ。

宮城 光 モータージャーナリスト

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みやぎ ひかる / Hikaru Miyagi

1962年生まれ。1982年鈴鹿サンデーオートバイレースに於いてデビュー3位。直後にモリワキレーシングと契約、1983年鈴鹿4耐で優勝、同年全日本F3クラスとGP250クラスに於いてチャンピオン獲得。1984年全日本F3クラス、F1クラスチャンピオン獲得。1988年HondaのHRCと国内最高峰GP500ccライダーとして契約。1993年より活動の場をアメリカに移し、全米選手権でチャンピオンになるなど、日本だけでなく海外でも活躍。1998年からは国内4輪レースでもその才能を発揮し、翌年の「4輪スーパー耐久シリーズ」ではチャンピオンを獲得する。また、世界耐久選手権シリーズ・鈴鹿8時間耐久ロードレースでは2003年より5年間ホンダドリームレーシングの監督を務めた経験ももつ。2016年には米国ボンネヴィルにおいて4輪車の世界最高速度記録を達成、世界記録保持者。開発車両ではTeam無限のマン島TT参戦車両・2輪電動マシン「神電」の初期からの開発ライダーを担当し2018年時点で5連勝中、2019年もチャレンジする。一方では、警視庁及び企業向け交通安全講話やライディング&ドライビング講師、専門学校講師などのほかに、 日本テレビのMotoGP解説者や雑誌などのメディアでレースやバイクの解説を務めるなど、多方面で活躍中。ホンダ・コレクションホールではホンダ歴代の2輪4輪グランプリマシンの維持管理テストレーサーを務める。無類のラジコン好き。

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