ロイヤルエンフィールド、新型バイクの正統進化 1960年代を彷彿させるコンチネンタルGT650
欧州排ガス規制のユーロ4に対応した左右長めのテーパーサイレンサーからの排気音はとても静かだ。そしてエンジンから聞こえてくるメカノイズも空冷エンジンとしては静かな部類と言えよう。
右手のアクセルグリップに忠実にレスポンスするMIKUNI製フュエールインジェクションの性能に相まって、650ccの2気筒SOHC4バルブ270度クランクのエンジンは、この回転域では何の主張もしてこない。だからこそ、左手で軽めのクラッチレバーを握り、左足で1速にギアを入れ軽く右手を捻ったタイミングの走り出しが、予想以上のスムーズさにうなずくこととなった。
まるで国産バイクのようなスムーズさの発進性能で、この極低速回転領域での燃料調整とクラッチフリクションプレートの味付けに素性のよさを感じる。伺えば、インジェクションセッティングは日本人エンジニアが作り込み、クラッチ周りも定評の有る日本製F・C・Cクラッチを採用しているとのこと。
エンジンにも大きなこだわりがある
交通の流れに乗るにはほんの少しのアクセル開度で事足りる。市街地では2000~2500回転も回しておけば6速で40~50km/hの速度で難なく巡航可能なトルクがある。高速走行では80km/hで3000回転、100km/hでは4000回転と、この排気量としては回転数が低めだ。
また、郊外ワインディングなどでは5000回転も回せば十分、各ギアで軽快な走りを実現してくれる。レブリミッターは7500回転だが、この辺りのレブ特性は柔軟ではないので、早め早めのシフトアップこそ、このエンジンの面白さとも言える。
この“270度爆発タイミング”は元々、ドゥカティが得意とする点火タイミングだが、現在では多くの2気筒エンジンが採用し、ドライバビリティーのよさに貢献している。コンチネンタルGT650のエンジンは2014年まで同じく英国のトライアンフ社でプロダクトマネージャーを努めたサイモン・ワーバートン氏によるもので、このコンチネンタルGT650の総合プロデューサーも担当、徹底的なマーケティングに加え、彼の長い経験値に基づくデザインがされている。
振動が少なく、適切なフライホイールマスによって、一見すると古く感じそうなエンジンは快適そのもの。高速道路での巡航も4000回転前後で快適であった。また、特筆すべきはミッションだ。6速ミッションは1〜6速までが比較的均等にクロスされ、2速から1速にシフトダウンする際にもエンジンに負荷をかけることも少ない。
一方、6速がオーバードライブ的に離れていることもなく、最後までエンジン出力を生かせるレシオだ。そして、ストロークが少なく軽いタッチで操作できるシフトフィーリングは今までテストしてきたバイクの中でもトップクラスの操作感で、これだけでも信号での減速〜停止も楽しくなってくる。
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