「31歳シングルマザー」再婚までの険しい道のり 容姿端麗で、多くの見合いを経験したが…

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沙耶を産んだときには、幸恵は心の中で離婚を決めていた。その後、親権や養育費の話し合いを重ねて、8カ月後には正式に離婚をし、親権は幸恵が取った。

離婚が決まったとき、“切迫早産になり死ぬか生きるか、命をかけて産んだ娘は、何があっても1人で立派に育てていこう”と、自分に誓ったという。

そこから2年間は無我夢中で働き、子育てをしてきた。だが、ふと気づいたときに、このまま1人でいるのは寂しいと再婚を決意した。

再婚相手は元夫とは正反対の性格

ところが、婚活の道のりはそう甘いものではなく、1年半お見合いを繰り返しても結婚できる男性には、なかなかめぐり会えなかった。

そんな中でやっと出会えたのが義則だ。しかし、義則について当初は私にこんなことを言っていた。

「娘にすごく優しくしてくれるし、娘もすごくなついている。それは、本当にありがたいんです。でも、デートで食事をしても、いつも割り勘。

娘がいるときはファミレスでもいいんですが、娘を実家に預けて2人でデートしても、おしゃれな店に連れて行ってもらったことがない。行くのはいつも安い居酒屋さん。しかも、デートに着てくる服が毎回同じなんですよ。もしかしたらすごいケチかもしれない」

そこで私は、こんなアドバイスをした。

「ケチな男性というのは、結婚したら奥さんにお財布を任せずに、自分で管理したがるのよ。無駄なお金を使われたくないから。義則さんとは、もう結婚を見据えたお付き合いをしているのだし、お金の話をするのは大事なこと。結婚後の家計のやりくりをどう考えているのか、聞いてみたらどう?」

それを聞くと義則は、こう答えたという。

「家計はすべて任せるよ。僕はお小遣い制でいいから」

義則は女性と付き合った経験もなく、純朴で朴訥な男だった。そして、プロポーズも義則らしかった。

そのときの様子を幸恵はおかしそうに話してくれた。

「『大事な話があるから、次は2人だけで会いたい。お店予約しておくから』と言われて連れて行かれたのが居酒屋さん。“また居酒屋さんかい”と思いながらも席に着くと、普段あまり飲まないお酒をガブガブ飲み出したんです」

店は、1時間ほどで出た。大都会の道には人がごった返していて、人混みの中ではぐれないように手をつなぎ、交差点の赤信号で立ち止まった。そのとき義則が切り出した。

「僕と結婚……●×▲#$%&」

喧騒の中、何を言っているのか声が小さくて聞こえなかった。と、そのとき、信号が赤から青に変わった。

「大群衆が私たちのほうに向かってブワ~ッと歩いてきて、その群衆とすれ違いながら私たちも横断歩道を渡ったんですね」

そして、渡りきったときに、今度は大きな声で言った。

「僕と結婚してくれませんか」

「もうロマンチックも何もあったもんじゃないですよ(笑)。でも、うれしかった」

そして、幸恵はしみじみと、とても幸せそうに言った。

「義則さんは、離婚した夫とは正反対のタイプなんですよ。あの離婚がなかったら、きっと選んでいなかったと思う。女性を喜ばせるようなことは言えないし、おしゃれな店も知らない。でも、この人は、不器用でまっすぐ。家族を裏切ったりしない。あと、私が主導を握る結婚生活が送れるなって思ったんですよ(笑)」

31歳シングルマザーがつかんだ新たな幸せ。末永く、お幸せにね!

鎌田 れい 仲人・ライター

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かまた れい / Rei Kamata

雑誌や書籍のライター歴は30年。得意分野は、恋愛、婚活、芸能、ドキュメントなど。タレントの写真集や単行本の企画構成も。『週刊女性』では「人間ドキュメント」や婚活関連の記事を担当。「鎌田絵里」のペンネームで、恋愛少女小説(講談社X文庫)を書いていたことも。婚活パーティーで知り合った夫との結婚生活は19年。双子の女の子の母。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイトはコチラ

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