その後の見合いも紆余曲折。そんな中で、面倒見がよく娘もなついていた長谷部陽太(33歳、仮名)とは、真剣に結婚も考えたが、婚約寸前で破談になった。
契約社員だった彼に、「ちゃんと就職をして、どんな会社でもいいから社員になってほしい」といった途端、彼が体調を崩し、うつ状態になってしまったからだ。
「プロフィールは高卒となっていたのですが、長谷部さんは高校時代にイジメにあって登校拒否になり、高校を中退したそうです。以来、集団の中で人間関係を築いていくのが苦手で、いつでも仕事が変えられる派遣社員をしていたようです。だから、私に『就職して』と言われたことが、とてもプレッシャーになったようでした」
これまでの見合いの中で娘がいちばんなついた相手とも結婚まではたどり着くことはできなかった。
婚活パーティーでカップリングしたが…
お見合い婚活に行き詰まり、目先を変えようとシングルマザーを対象にした婚活パーティーに参加したことがあった。イベント業者が主催した婚活パーティーだったのだが、そこで、スラリとした長身のイケメン、加藤裕司(38歳、仮名)とカップリングした。
パーティーの後、2人で近くのレストランに軽く食事に行った。そこで彼が盛んに言ってきたのが、「何だかこの出会いに運命を感じるな」だった。食事を終えて店を出ると、駅まで向かう道すがら人通りの少ない路地に入っていき、いきなり抱きしめキスをしてきた。
身分証明書等の提示がなく誰でも参加できるような婚活パーティーには、この類いのやからが紛れ込んでいる。「運命を感じる」という言葉は、ヤリモク男の常套句だ。
最近はシングルマザーを対象にしたパーティーも多く開催されているが、シングルマザーを狙い撃ちしているヤリモクもいる。シングルマザーは子どものいない独身女性と比べたら、1人で遊びに出かける時間が圧倒的に少ないし、出会いのチャンスも限られている。
また子どもを産んでいることは、男性経験がすでにあるということなので、“男女の関係になるハードルが低い”と考えているヤリモクが多いのだ。適齢期の独身女性に下手に手出しをして後から結婚を迫られ、面倒なことになるよりも、“シングルマザーなら気軽に遊べる”と思っている。
幸恵は、裕司と駅で別れると、「あたなとは、もう二度と会いません」とLINEを入れ、彼の連絡先をブロックした。
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