「本当に仕事を辞めたいか」見極める質問の力 自問して実際に書き出してみることが大切
河田氏は、企業研修や学校での授業において、生き方や考え方、働き方といった人々の悩みや問題を、質問を通して解決に導く専門家だ。その河田氏によれば、こんな場合に有効な質問は「やめたいことや、捨てたいことは何だろう?」である。著書の『人生、このままでいいの? 最高の未来をつくる11の質問』で掲げる11の質問の3番目だ。
現代人は物理的にも精神的にも、一杯の状態にある。自分が思っている以上に多くの選択肢を持ち、そこから多くを選び取った結果、身の回りは要らないものであふれている。時間的にも精神的にも余裕がないのに、もっと多くを手に入れようとしたり、まだ何かを始めようとしたりするから一向に進まない。多くのものにがんじがらめになり、足取りが重くなっていることに気付かないでいる。
今は宝物のように大切にしているものであっても、明日の自分には必要がないものである可能性もある。それを見極めていくことで、やめずに続けるべきか、それでもやはりやめるべきかが分かるのだ。
その見極めのために河田氏は、先の質問に派生して次の8つの質問を投げ掛ける。
・捨てたり、やめたいことは何ですか?
・これからも大切にしたいことは何ですか?
・本当に、なくてはならないものは何ですか?
・どうすれば、捨てることができますか?
・何を怖れていますか?
・どんな自分を生きていきますか?
・どうすれば、もっと味わったり、楽しんだりできますか?
質問の答えは必ず書き出す、考えるだけではダメ
この8つの質問で自分が変えたいと思っていることがよりクリアになり、要らないものを捨てる覚悟ができ、必要なものに入れ替える作業をしながら、新しい自分に変えることができる。必要なものは大事にし続ければいいし、要らないものを捨てて身軽になれば、自然と次の一歩を踏み出すことができる――河田氏はそう説明する。
上記の8つの質問を掲載した『人生、このままでいいの? 最高の未来をつくる11の質問ノート』は、前作を補完する「実践ワークブック」として出版したという。そこで強調されているのは、実際に書き出すことの大切さだ。
メモや日記など、実際に書き出すことの効果が最近よく指摘されるが、頭の中で考えるのと実際に書き出すのはまったく違う行動である。
例えば、「あなたのいいところはどこですか?」と聞かれると、「優しいところ」「丁寧に仕事をするところ」「決断が早いところ」など、頭の中に思い浮かぶことがあるだろう。