その後は「べき論」を振りかざすのはやめて、「私は皆さんにこの新しいやり方でもっと楽をしてもらいたいと思っているのですが、どうしたらいいでしょうか?」という接し方に変えたところ、自分でも驚くほどの協力を得られるようになりました。
「何をするか(What)」→「なぜやるのか(Why)」
「何をするか」という考え方は人を引きつけるように思われますが、いつもそうとは限りません。やることは、状況の変化とともに変わることも多いからです。自分が「こうしよう!」と掲げたこと=Whatに一時的に協力が集まったとしても、状況が変わるともっとよいWhatに人の心が移って行くことは想像にかたくありませんし、自分自身が試行錯誤し、学んでいくことでWhatが変わることもあるでしょう。
巻き込み力にはブレない芯が必要です。ころころ変わるWhatに協力を仰ぐよりも、ブレない信念に共感してもらうほうが、結果的に強い協力を得ることができます。信念とは「なぜそれをやろうと思っているのか」=Whyのことです。Whyへの共感は強く長く続きますが、人を引きつけるWhyとあまり引きつけないWhyがあります。
ビジネス訓話としてもよく取り上げられる「3人のレンガ職人」というイソップ童話は、このWhyの違いを端的に表しているのでご紹介します。
1人目にはそもそもWhyがありません。そこにあるのはやらされ感です。やらされ仕事に周囲の人を巻き込むのは難しそうです。
2人目のWhyは「生活費を稼ぎたいから」。これが家族のためでもなく、とにかく稼ぎたいというWhyだった場合にはあまり賛同を得られることはないでしょう。
3人目のWhyは「人を救う建物をつくることで世の中に貢献したいから」です。このWhyは多くの人が賛同するでしょう。結果として応援が集まり、レンガを積む仕事だけではなく、大聖堂を建てる重要な仕事を任されるかもしれません。
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