「べき論」を語る人が孤立しがちな本質的理由 「巻きこめる人」になるための"3つの考え方"

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このようによいWhyには人が集まり、そうでないWhyからは人が離れて孤独になっていくのです。物事を始める動機として稼ぎたいなどの欲望があることを否定するわけではありません。人を巻き込むということを考えるのであれば、共感されるWhyを自分の中に持っている必要があるということです。

「巻き込み力」→「巻き込まれ力」

最後は意外かもしれませんが、巻き込み力を高めたいのであれば、自分が巻き込まれる力を強くする必要があります。日本は同調圧力が強いと言われていますが、自ら巻き込まれる力は、空気を読んで同調圧力に従うということではありません。

他の人がチャレンジしようとしている取り組みや未知なる領域の取り組みに対して、自分から飛び込んでいく力のことです。この経験が、結果的に自分が何かをする際の巻き込み力につながるのです。

日本マイクロソフト社では「巻き込まれ力」を評価対象としているそうです。主に3つの評価軸があり、1つは、自分に与えられた責任をどれだけ果たしたか。2つ目は、それを実現するために、どれだけ多くの人を巻き込んだか。3つ目は、他者の成功に自分がどれだけ巻き込まれて貢献したか。

自分の仕事ではないから……と人に協力しなければ、自分が協力してほしい時も協力してもらえないというのは考えてみれば当然のことかもしれませんが、実際にはそうなりがちです。ですので、意識的に「巻き込まれよう」と行動しなければ巻き込まれ力が強くなることはありません。

巻き込まれ力を高めるには、まずは自分がどんな人物なのか、何に興味があるのか、どんな強みがあるのか……などを情報として発信する必要があります。今だとSNSなどがあり、情報発信しやすいでしょう。SNSをリア充アピールのために使うだけではなく、自分が巻き込まれるきっかけ作りと考えて情報発信してみるとよいのではないでしょうか。

もう1つは巻き込まれる機会を短期的な損得勘定で捉えないということです。自分が得られるものを金銭や評価などで考えると巻き込まれ力は弱まります。直接その取り組みから得られるものではなく、自分が得られる経験の方が重要だと考えてみましょう。

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自分が巻き込まれていくことで、視野が広がり、視座が上がります。古代哲学者アリストテレスは、人を説得するには、ロゴス(論理)、パトス(熱意)、エトス(人格)の3つが必要だと説いています。どんなに論理的に情熱を持って話したとしても、自分を信じてもらえなければ巻き込むことはできません。

エトス(人格)の中でも最も重要だといわれているのが実践から得られた知恵を持っていることです。いろいろな取り組みに自ら巻き込まれていくことで、この実践知が蓄えられ、結果的に人を巻き込むことができるようになります。

多くの方が巻き込み力、巻き込まれ力を高めていくことで、社会がよい方向に向かっていくことを願っています。

清水 久三子 アンド・クリエイト代表取締役社長・人材育成コンサルタント

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しみず くみこ / Kumiko Shimizu

アンド・クリエイト代表取締役社長・人材育成コンサルタント
大手アパレル企業を経て1998年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)入社。企業変革戦略コンサルティングチームのリーダーとして新規事業戦略立案・展開プロジェクトをリード。「人が変わらなければ変革は成し遂げられない」との思いから専門領域を人材育成分野に移し人事・人材育成の戦略策定・制度設計・導入支援などのプロジェクトをリード。コンサルティングサービス&SI事業の人材開発部門リーダーとして5000人のコンサルタント・SEを対象とした人材ビジョン策定、育成プログラム企画・開発・展開を担いベストプラクティスとして多くのメディアに取り上げられた

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