米中通商協議の妥結は意外に早いかもしれない

トランプ大統領の「直観」は、結構正しい

中国がこれに対抗しようとすると、どう考えても分が悪い。まず足元の景気に不安がある。そして貿易依存度は中国が約33%、アメリカが約20%なので、高関税政策の影響をより強く受けるのは中国の方である。さらにアメリカは中国から年間5000億ドルも輸入しているのに対し、中国の対米輸入は1300億ドル程度しかない。報復関税をかけたくても、すぐに限度いっぱいになってしまうのだ。

貿易や関税の理屈をまったく理解していないはずのトランプ大統領だが、喧嘩の仕方としてはまことに理にかなっている。こんな風に「トランプさんの直観」は、意外と正しいことが多いから油断がならないのだ。

6月28-29日の大阪G20サミットに合わせて妥結も?

それでは今後の米中貿易戦争はどう展開するのか。まず、今の米中関係は「新冷戦」とも呼ぶべき総力戦であって、通商摩擦はあくまでその一局面だと考えるべきである。今日の米中対立は「安全保障」や「技術競争」などの局面もあって、大きく言ってしまえば「覇権争い」である。南シナ海やサイバー攻撃や5G開発といった諸問題が、簡単に解決すると思っている人はいないだろう。米中の対立は、10年単位で続くと見ておくべきである。

歴史的に見て、新旧の覇権国がぶつかり合うときは、得てして相互に「誤解」が生じるものだ。今回の場合で言えば、中国側に「ビジネスマンのトランプには、利益さえ与えておけばいいだろう」という読みの甘さがあったように見える。そこですかさず喧嘩を売られたわけだが、急いで軌道を修正する必要がある。安保や技術の問題で出口が見えないからこそ、相対的に易しい問題である通商摩擦は合意にこぎつけなければならない。

中国側のタイムテーブルにおいて、最重要日程は10月1日の建国70周年だ。習近平国家主席としては、この日までに対外問題を安定させて、当日は北京で軍事パレードを行うなどして「1強体制」をアピールしなければならない。もっと言えば、恒例・夏の北戴河会議において、諸先輩方から対外関係について注文をつけられる前に片づけたいところだ。

そこで浮上するのが6月28-29日の大阪G20サミットである。米中の首脳が揃って出席するタイミングにおいて、通商協議をゴールさせたい。そのためには、知的財産権なり補助金なりでの妥協もやむを得ない。となれば、当面は米中衝突となってもリカバリーショットが打たれるのは案外早いのではないか。

「セル・イン・メイ」(5月に売れ)はこの時期に誰もが意識する相場格言だ。しかるに「アンド・ドントカムバック!」とまで言い切るのは少し気が早い。いつものことながら、トランプ劇場は融通無碍だ。6月に大阪で、笑顔で握手する両首脳の姿が目に浮かぶような気がしないだろうか?(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が、週末の人気レースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。

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