米中通商協議の妥結は意外に早いかもしれない

トランプ大統領の「直観」は、結構正しい

さあ、わからない。そもそも米中通商協議は、その直前まで楽観ムードが流れていた。5月1-2日には北京で閣僚協議が行われていたし、「合意は5月下旬が目途」とも言われていた。5月25日から28日にかけて、トランプ大統領は国賓待遇で日本を訪問する予定になっているから、そのついでに北京まで足を延ばして、米中はサクッと合意してしまうんじゃないか、との観測さえあった。

4月26-27日に安倍首相がワシントンを訪れた際にも、トランプ大統領は日本との通商協議と早期妥結に言及し、「対中交渉はもう峠を越した」と言わんばかりであった。この短い間に、いったい何が起きたのだろう。

これまで非課税だった対中輸入分にも課税へ

トランプ大統領は、みずから「タリフマン」と名乗るほど、関税がお好きな人である。「あのー、関税を払うのは輸出する中国企業ではなくて、中国製品を買うアメリカ企業や消費者なんですけど…」という説明は、おそらく側近たちから100回以上聞かされているはずだが、トランプさんの頭の中ではあくまで「中国が払っている」ようなのだ。

この間、アメリカ政府の関税収入は2017年の352億ドルが翌2018年には497億ドルと途方もない伸びを示している。対中関税のみならず、鉄鋼・アルミ追加関税も実施しているし、どうかするとこの上、自動車関税も検討中である。

今回も米USTR(通商代表部)は、すぐに対中輸入2000億ドル分への10%の関税を25%に引き上げると通告した。2000×(25%-10%)となるので、それだけで年間300億ドル分の増加となる。期間が5月以降12月までと考えると、1年の3分の2となるから2019年の関税収入は前年比さらに200億ドル増となる見込み。いやいや、トランプさんはこれまで非課税だった対中輸入3250億ドル分にも、25%の課税をすると言っている…。

「こんなに関税を増やすと、個人消費に響くんじゃないか?」とのご懸念はまことにごもっとも。アメリカ国民が支払った関税は、そのまま政府の税収になるから増税と同じ効果を持つ。ただしこの程度の金額であれば、19兆ドルというアメリカの名目GDPから見れば微々たるもの。さらにいえば現在のアメリカ経済は、この連休中に発表があった通り、1-3月期GDP速報値は前期比3.2%増、4月の雇用統計は失業率3.6%、雇用増26.3万人という絶好調ぶりである。

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