「会社PCにやたらとステッカー貼る社員」の盲点 会社に「勤務態度が悪い」と思われるリスクも
――確かに借り物ですから、返却時はきれいにしないといけないですね。
「借り主は、ノートPCを返却する際に借りたときの状態で返還する義務を負います。もしステッカーを剥がせない状態や剥がし跡がべったりと残ってしまう場合には、借りたときの状態に戻したとは言えません。
このような場合に、『器物損壊罪』(刑法261条)にならないかが問題になります。器物損壊罪における『損壊』とは、その物の効用を害する一切の行為を指します。物理的に破壊する行為はもちろん、精神的に使えなくなる行為も含みます。
例えば、ノートPCのディスプレイに大きなステッカーを貼って剥がせなくなった場合には、そのノートPCは使用できないも同然ですから、器物損壊罪が成立する可能性があります。しかし、ノートPCとして使用できる状態なのであれば器物損壊罪は成立しません。
また、ノートPCの借り主は、定められた用法に従って使用する義務を負っています。
業務の付箋やリマインドのためにステッカーを貼ることは用法から外れないでしょうが、業務と関係なく単に装飾のためということだと、用法から外れていると考えられます」
セクハラに該当する可能性もある
――貼るステッカーの種類によって、ただちに問題になるということはありますか。例えば、他社のロゴや政治的な内容、趣味に関わるステッカーなどです。
「『他社のステッカー』『政治的なステッカー』『キャラクターなど趣味に関わるステッカー』は、用法から外れない限り、貼ること自体は問題ありません。
ただし、ステッカーそのものに問題がある場合も考えられます。例えば、ライバル企業のステッカーを貼ると、自社への不満を表しているように見える可能性があり、従業員としての勤務態度が悪いという評価につながりかねません。
当然ですが、『性的な内容を含むステッカー』はデザインによっては、職場環境を悪化させる可能性があります。そうすると、セクハラに該当する可能性があります」
――実際にノートPCのステッカーが問題視されることは少ないとは思いますが、いざというとき、会社に対するウィークポイントになる可能性はありそうですね。
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