「いきなり!ステーキ」社長、挽回の「秘策」を激白 いきなり!ステーキは近いうち「文化」になる

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――ステーキを立ち食いするスタイルそのものは、アメリカ人に受け入れられたのでしょうか。

ニューヨーカーは忙しいから、速く食べられるいきなり!ステーキに需要があると見越して進出した。ただ、結果的に「速さ」の部分を感じてもらえなかった。日本で展開するメンバーズカード「肉マイレージ」も導入したが、マイレージ登録はレジで、会計はテーブルでとややこしく、顧客に混乱を招いてしまった。顧客が精算に時間がかかって、食べ終わってもなかなか店を出ることができない状態が続いた。

とはいえ、アメリカは巨大な市場ですよ。フランチャイズ発祥の地ですから、フランチャイズでひと山当てたらすごいことになる。今後もペッパーフードサービスとして、意欲的に出店していく。

「いきなり!ステーキ」はブームから文化へ

――最後に改めて。いきなり!ステーキを一段と成長させることは可能なのでしょうか。

日本全国には、いきなり!ステーキをまだ食べていない人がいる。先日講演した会場ではいきなり!ステーキを出席者全員が知っていたが、マイレージを持っている人は10人以下。スマートフォンのアプリも3人くらいしか登録していなかった。今後は店の魅力を伝えながら、新しい顧客をもっと開拓していく。

ピンチがあるからこそ、その対策として新たな施策を打ち出して再成長する。そういった意味で、今はいちばん大きなチャンスをもらっていると言える。ピンチから立ち直った経験があると、どういうときにピンチが来るか予測する能力もつく。

これまでも2001年に狂牛病が発生、2007年にペッパーランチ心斎橋店で起きた事件(注:同店の店長らが食事中の女性客を拉致し暴行・監禁した事件)、そして2009年にペッパーランチで発生したO-157による食中毒でピンチになった。それらはいきなり襲ってきたが、今はじわじわと迫ってくる、いわば「静かなる有事」だ。

いきなり!ステーキは昨年3月までは一種の「ブーム」だった。そのブームは終わったが、ステーキそのものに需要がなくなったのではない。気楽にステーキを食べられることは、これから文化になっていくだろう。

回転寿司業界も浸透しだしたころは、町の寿司屋が「あんなのブームだ」と言っていたが、いまでは回転寿司業態は定着し、顧客から支持を得ている。いきなり!ステーキも、近いうちに文化になる。

遠山 綾乃 東洋経済 記者

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とおやま あやの / Ayano Toyama

東京外国語大学フランス語専攻卒。在学中に仏ボルドー政治学院へ留学。精密機器、電子部品、医療機器、コンビニ、外食業界を経て、ベアリングなど機械業界を担当。趣味はミュージカル観劇。

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