元グーグル日本法人社長の"生き抜く"読書術 出世競争に負けても動じない、本との付き合い方
読書から“生きるテーマ”を見つける
もう一つは、ワクワクするもの、人生を棒に振ってもいいと思えるものを見つけて読んでほしい。私の場合、それは宇宙です。
高校に入学したとき、数学が得意だったので、授業がつまらなくて退屈していたんです。それを見た、当時担任でもあった数学の先生に「村上、数学は易しすぎるか」と声を掛けられて、数研出版のチャート式を自習するように勧められました。
それも高校1年の終わりに数Ⅲまで終えてしまったのですが、そうしたら次はジョージ・ガモフの全集を読むように言われて、『不思議宇宙のトムキンス』(旧題『不思議の国のトムキンス』)なんかを読みました。これが、大きな出合いでした。
量子力学的な世界というのは、われわれ人間が体験できないものですが、トムキンスさんが行く不思議な世界では、量子力学的な現象がわれわれ人間のサイズで起こっている。そういう量子力学の啓蒙書です。
今、私の最大の関心事の一つが量子コンピュータです。これが実現すれば、モノが「存在する」とはどういうことかの解明につながるということで、理科系の人たちに「お前、やれ」とけしかけているんです。そう考えると、高校時代に出会ったガモフの影響を、66歳になる今までずっと引きずっていると言っていいかもしれません。
若くてたっぷり時間があるときに、「生きていくうえで自分にはこれがある」と思えるもの、通奏低音となって人生を流れるものを見つけることです。「僕はこのテーマで生きているんですよ」というものがあれば、出世競争から外れても動じないようになると思います。
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