先進国の子も「労働力」にするコワい教育の歴史 アップルが「画一的な教育」に異を唱えるワケ
それは学校を主体とする教育の目的を見直すもので、これからは子どもたちに将来に向けた準備をさせるのではなく、当時必要とされていた類いの労働力となるための準備を目的とすべきだとはっきりと説いているのだ。
この論文を発行したのは、GEB(一般教育委員会)を自称する団体。この団体を創設し資金を援助したのは、ほかでもないロックフェラー自身だ。
このようなテイラーの考えに賛同する人々は「テイラリスト」と呼ばれ、彼らは熱心に、正規の学校教育の目的は「平均的な生徒を標準とする教育の提供」であるべきだと主張した。
こうした流れの中で、産業革命の後期に入ったアメリカで学校教育の目的が見直されることとなり、いまなお続く教育システム全体の標準化に焦点が集まるようになったのだ。
今やアメリカだけでなく、日本でもまさに同じ問題を抱えていることは言うまでもないだろう。
個人でも本物の変化を起こすことができる
私は、そうした現代の教育システムを変え学習のパーソナライズ化を図るために、さまざまな取り組みを推進している。
例えば、バラク・オバマ前大統領が始めた「NETP(公教育テクノロジー導入計画)」や「コネクトED(教育現場におけるテクノロジー事情の改善を目的としたプロジェクト)」にアップルの代表として参加したり、2017年には、学生の学ぶ力やモチベーションの改善につながる最先端の研究を支援する目的で、ハーバード大学に属する研究機関へも出資するといった活動だ。
私の子どもの教育に対する考えは、子どもが生まれつき得意なこと、興味があること、好きなことを子ども自身に発見させることを第一にするべきだということ。そのために役立つテクノロジーの使い方を提唱している。
幸い、いまの時代には私たち個人でもできることがたくさんある。例えば、賛同者を集めるキャンペーンができるウェブサイト、ツイッターやフェイスブックなどのSNSといった無料で利用できるものを使えば、私たち個人で本物の変化に向けて行動を起こせる。
地域レベルや学校レベルをはじめ、州レベル、国レベルで変化を起こすことだって可能だ。インターネットとSNSの爆発的な広がりにより、(かつては一般人と呼ばれていた)まったくの個人が持つ力はかつてないほど強大になった。
たった1人の親、教師、活動家がオンラインで嘆願する、あるいはツイッターやフェイスブック、インスタグラムに思いを投稿することから次々にさまざまな活動が生まれ、いずれ本物の変化が生まれる可能性は十分にある。
ただし、誰かが始めなければ何も変わらない。マハトマ・ガンジーもこう言っている。
「世界を自分が見たいと望むものに変える存在になりなさい」
教育のリワイヤリングを求める動きに貢献し、対話に参加することで、あなたにも、世界をあなたが見たいと望むものに変える存在になってもらいたいと願っている。
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