爪ようじをうっかり飲み込んだ男の壮絶な末路 医学誌は以前から危険性を指摘
抗生物質と輸液、解熱剤を投与され、男性の症状は改善したかに思われた。ところがその翌日、熱が40.5度を超えた。
つまようじを発見した医師はがく然
腸の内視鏡検査を行ったものの原因を特定できず、珍しい炎症性疾患を疑ったと、治療にあたったメディカルチームの1人、ファビアン・J・シャイド医師は言う。つまようじを発見したときはがく然としたと、シャイドは明かす。スキャン検査ではつまようじは見つからず、患者本人もいつ飲み込んだのか、覚えがなかった。
つまようじを取り除くと、動脈から出血した。命を脅かすほどの出血を止めることができず、患者を救うには複数の手術が必要と思われた。
腸と動脈の処置のため男性は別の手術室に運ばれ、動脈を3センチ切除。切除した箇所には大腿部の静脈が移植された。さらに、移植した箇所が腫れて脚の血液循環が阻害される恐れがあったため、ふくらはぎを大きく切開して筋膜を開き、圧迫を軽減させた。「大掛かりな処置だった」と、シャイドは振り返る。「患者が最も心配したのが、スポーツができるかどうかということだった」。
つまようじが体内から見つかったことを医師から告げられた後、男性は体調を崩す直前にサンドイッチを食べ、それがうまく飲み込めなかったことを思い出した。若くて強靭な男性は術後1週間で退院した。元の一流アスリートに戻るには何カ月もの理学療法が必要だったが、彼は見事に復活。発症してから7カ月後、試合に復帰した。
この患者のケースは非常にまれだとシャイドは強調しながらも、「こうしたことも視野に入れることが大切だ」と言う。それでもやはり、シャイドはつまようじが苦手だ。「つまようじを避けている」シャイドは言う。「自宅でのバーベキューパーティでは、ゲストにつまようじは出さない」。
(執筆:Denise Grady、翻訳:中丸碧)
(c)2019 The New York Times News Services
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