アルペン「世界最大アウトドア店」に抱く野望

2代目社長は「350人リストラ」後を乗り切るか

チェアは320種類、ランタンも200種類、トレッキングシューズ220種類、バックパック1000種類超といったように、特に品ぞろえにこだわり、どこにも負けないポイントだ。アウトドア商品の供給量は少ない。メーカー直営店でも売り切れた商品が、「柏店に来ればある」という店舗作りをしている。

ーー商品がいくら豊富でも、本当にECに勝てるのですか。

もちろん、実店舗で商品を見た後、家で品定めをして購入はECでという人はたくさんいるとは思う。ECで商品を買ったものの、「使い方がわからない」「想像していたものと違う」「使わないまましまってある」ことが続けば、今のアウトドアブームは一過性で終わってしまう。リアル店舗で常に新しいキャンプシーンを提案し、商品を購入することでよりアウトドアを楽しむことができれば、アウトドア愛好家をリピーターとして定着させられる。

みずの・あつし/1977年生まれ、2000年に入社。デジタル推進本部長やデジタルマーケティング部長などを経て、2016年9月に社長就任(記者撮影)

キャンプやハイキング、登山などアウトドア全領域をカバーした専門店「アルペンアウトドアーズ」と、山にフォーカスした「アルペンマウンテンズ」は、本社がある愛知県内の2店舗を皮切りに、3~6月までの間に鹿児島、京都、香川、福岡、千葉、東京と6店舗オープンする。店舗拡大に当たって、スタッフ教育は課題だ。柏店のオープンにあたっては、1号店の春日井店オープンから1年かけて教育してきた。

従来から専門知識を持ったスタッフの教育プログラムに力を入れてきた。「アルペンユニバーシティー」と呼ぶ従業員を対象とした社内教育専門機関があるが、最近では、1人ひとりの社員が持つ知識や接客力を共有し、会社の仕組みとして取り込もうとしている。

早期退職は「苦渋の決断」だった

ーーデカトロンやワークマンプラスをどのように意識していますか。

アウトドア関連のPB商品だけで展開しているデカトロンやワークマンプラスなどの店舗が活況だが、これらとは向いている方向がまったく違う。

柏店にチェアなどPB商品も置いているが、PB商品の構成比を増やそうと考えているかというと、そうでもない。PB商品だけではアウトドアシーンの楽しみの幅は狭くなり、完結しない。店舗は商品を売る場ではなく、アウトドアのさまざまな楽しみ方に触れてもらい、世界観を伝える場。「キャンプに行こうと思ったら雨が降ってきたから、アルペンアウトドアーズ柏店に行こう」というように、わざわざ足を運んでもらえる場所にしたい。これは、デカトロンやワークマンプラスの店舗では考えられないことだと思う。

――3月20日を退職日として、355人の中堅以上の社員が退職しました。

苦渋の決断だった。当社では、スキーブームだった1980年代から1990年代前半にかけて、スキーショップ「アルペン」の大量出店に合わせて大量採用した。そのため、45~55歳前後の管理職に相当する社員がかなり多く、人員構成がいびつだった。

ネットでモノを買うのが当たり前の世代にとって魅力ある店舗作りを進めようとしても、マネージャー職の世代交代がなかなか進まない。私が社長に就任する前から会長も認識していた課題だった。ほかにまだやれることがあるとして、”聖域“には手を付けずにきたが、いよいよ、次の成長のためには手を付けるしかないと考え、早期退職者募集に踏み切った。

少子高齢化の影響はあるが、日本はそれでもスポーツが盛んだ。東京五輪も控えており、売り上げ拡大の余地はまだまだある。一方で、ネットショップとの価格競争で、リアル店舗の利益率低下は免れない。同業のゼビオホールディングスやヒマラヤと比べても高い売上高販管費比率(ゼビオとヒマラヤが3割強、アルペンが約4割)を是正していく必要がある。

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