スポーツ用品店大手のアルペンは4月19日、「アルペンアウトドアーズ フラッグシップストア柏店」をオープンする。3階建て、2300坪の売り場面積に450ブランド、10万点以上の商品を取りそろえ、日本どころか世界でも最大規模となるアウトドアショップだ。
アルペンは1972年に名古屋市でスキーのプロショップとして設立以降、スキーブームとともに成長してきた。しかし、グループ全体の売り上げに占めるスキーやスノーボードなどウィンタースポーツ用品の割合は5%未満に過ぎない。過半を占めるのは野球、サッカー、スポーツアパレルなど一般スポーツ用品で、ネット販売(EC)との競争で値引き販売が常態化している。
今年2月には早期退職を募集し、本体と子会社1社の社員のうち約1割に相当する355人が応じた。
1970年代から開発を始め、「高機能で低価格」の定評があるプライベートブランド(PB)商品も、ここ数年、ユニクロやワークマンなどに押されて
厳しい状況にある。2019年6月期の会社側の業績予想は、売上高は前年同期比1%増のほぼ横ばいの2300億円、営業利益は同60%減の12億円。店舗減損や退職特別加算金などが発生し、純利益は16億円の赤字に転落する見通しだ。
【2019年4月19日8時52分追記】初出時に「1870年代から開発を始め」とありましたが、上記に修正いたします。
創業家2代目として、2016年9月に父親である水野泰三氏(現会長)から社長を引き継いだ水野敦之社長(41)に、柏店出店の狙いやリストラ後の展望を聞いた。
テントの品ぞろえは330種類
――新業態「アルペンアウトドアーズ」1店舗目を愛知県春日井市にオープンしてから1年が経過。千葉県柏市の旗艦店は、満を持しての関東初出店となります。ECや専門店「ワークマンプラス」、フランスのスポーツ・アウトドアブランド「デカトロン」など、激しい競争の中、世界最大規模のリアル店舗を出すのはなぜなのでしょうか。
インターネット通販が勢いを増す中で、実店舗を中心とする小売業を取り巻く環境は年々厳しくなっている。とはいえ、実店舗の価値がなくなることはない。
新業態のアウトドア専門店は、実店舗ならではの価値、「体験」を重視した売り場作りをしている。柏の旗艦店は、売り場面積約2300坪という広さを生かし、1階中央部にテントを10張り程度張ることができるウッドデッキを作った。330種類超という圧倒的な品ぞろえのテントの中から、気になるものを実際に試し張りできる。
3階の登山関連用品売り場のシューズコーナーには、世界的インソールメーカー「シダス」が開発した国内に2台しかない足形3D測定器を設置した。店内商品から自分の足ともっとも相性がいいシューズを選べる。登山道に見立てた石畳や坂道を用意し、実際の山道に近い歩き心地を体験することができる。
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