施工品質が「人」によって左右される大問題

建設現場の「技術の見える化」が必要な理由

CCUSでは、技能者の能力評価制度を導入する。技能レベルを国の資格制度などに基づいて4段階で評価し、IDカードを色分け表示することで、簡単に技能レベルを確認できるようにする。専門工事会社も、所属する技能者の人数・評価のほかに、工事実績、安全評価、処遇・福利厚生などの要素を加えて施工能力を評価。いい職人を育て、雇用する会社が選ばれやすい環境を整えていくことになった。

4年前に掲載した記事『職人軽視の日本人が、建設業をダメにする』で、スウェーデンのマイスター制度を紹介したが、技能資格や勤続年数、職能経験などで技能レベルを評価する制度は日本にも必要だろう。イギリスでは、建設技能レベルを8段階に分けて評価するCSCSカードを導入し、190万人が保有している。

技能レベルの評価基準をどうするか

ポイントは、CCUSの技能レベルの評価基準をどうするか。まずは最上位のレベル4(ゴールド)の基準を定める必要がある。ここが明確にならないと、見習いを含む初級技能者のレベル1(白)、中堅技能者のレベル2(青)、職長クラスのレベル3(シルバー)も決まらないからだ。レベル4相当は登録基幹技能者をベースとする考えだが、現時点で評価基準が定まっているのは、鉄筋、とび、型枠、機械土工の4職種しかない。

「建築大工の業界団体にも以前から基準作りを進めるべきと助言してきたが、足並みがそろわずに準備が間に合わなかった」と残念がるのは、2018年8月に発足した「建築大工技能者の能力評価検討会」で委員長を務める芝浦工業大学の蟹澤宏剛教授。

建築大工の登録基幹技能者制度は、2014年に全国中小建築工事業団体連合会でつくられているが、改めて建築大工に関わる有力業界団体が集まって評価基準づくりを行うことになり、まだ作業中だ。CCUSと連動したレベル判定システム(仮称)の運用開始も、2020年度になる見通しで、当面はカードの色分け表示は暫定運用となる。

発注者が技能に優れた施工業者や職人を選べる環境を実現するには、まずはCCUSにできるだけ多くの技能労働者に登録してもらう必要がある。政府肝いりで導入して普及率が10数%のマイナンバーカードのように普及しなければ、発注者の選択肢が限られるからだ。

しかし、当初から「技能労働者がCCUSに登録するメリットがわかりにくいので、簡単に普及は進まないだろう」との声は多かった。昨年から事前登録が始まっているが、今年3月末で登録者数は2万人程度。技能労働者がCCUSのメリットを実感できるようになるのは、民間システムとの連携(API連携)などによる利用環境の向上が進むかどうかにかかっている。

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