「65歳以上のシニア」を活用できない会社は傾く 不安なく一生働ける環境をどう整えるか

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宮島:例えば、長期療養が必要な従業員、親の介護が必要な従業員などは、「アソシエイト正社員」として、本人の希望する時間や日数で柔軟に勤務できる制度を新設しています。個人の事由にあわせ、仕事の両立を可能にすることで安心して働いてもらうための仕組みです。

また、すべての店舗契約社員を「エリア正社員」として、有期雇用契約から無期雇用契約に切り替えました。これは、全国の直営店舗で働く授業員が担当する地域で安心して働き続けてもらうための取組です。

そういうふうに時代の流れを見ながら、完全ではないかもしれませんが、変則的なメニューも提供していかなければと考えていますね。

中原:半年ほど前に、ヤフーの宮坂学さんからお話をお伺いする機会があり、「従業員を幸せにしたい」ということを強調されていました。従業員の長時間労働をなくしたい、それから、従業員の働き方を柔軟にしたいと。視点は多少違うかもしれませんが、宮島さんも宮坂さんも同じ方向を目指していることが理解できました。

「体験したことをしっかりと話せる」人材が欲しい

中原:ファンケルは従業員の不安や不満を取り除いて、従業員を幸せにしたいという方向を目指していると。では、これからどのような従業員を採用したいとお考えでしょうか。求める人材像があればお聞かせください。面接などで印象に残っている就活生のエピソードもあるでしょうか。

中原圭介氏。「60代になっても70代になっても、モチベーションの高い人たちが遠慮なく働ける社会を、企業が率先してつくっていくべきです」(撮影:ヒダキトモコ)

宮島:新卒生については毎年30人ほど採用しています。私などが担当する最終面接では50人くらいに絞り込まれているのですが、その中から誰を採用するか、甲乙つけがたい。人事に「全員取ってもいいか」と聞くと、「いいです」って言うほどですよ。

あくまで私個人の面接での見方ですけど、やはり正直な学生さんがいいですね。それから、自分の実体験をきちんと話してくれる学生さん。印象に残っている学生は何人もいますが、そのうちの1人は居酒屋でアルバイトしていたときのエピソードを話してくれました。

居酒屋の売り上げが落ちてきていたので、何とかしなければいけないと思って、近くの事務所や事業所に名刺とメニューを持って営業に回ったと。男子ではなく女子学生さんなんです。しかもビールの大ジョッキを10個持てるという特技もあって、それでお客さんのところにビールを届けると、「とても喜ばれるからうれしい」という話もしていましたね。

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