当面「ドル高円安」が進む可能性が高まった? 「円売り圧力」の「構造的な変化」が起きている
[東京 17日 ロイター] - ドル/円<JPY=>が17日、年初来高値を更新した。直接のきっかけは日米通商交渉で為替条項に関する議論が表面化しなかったことだが、英国の欧州連合(EU)離脱問題など当面のリスク要因が後退しつつあり、円に下落圧力がかかりやすくなっている。相次ぐ日本企業による海外企業の買収が、経常収支や円相場に構造変化をもたらしている点も関心を集めている。
ドル押し目待ち戦略は不発
17日午前の外為市場で、ドルは一時112.17円まで上昇。3月5日の年初来高値を上抜け、昨年12月20日以来4カ月ぶり高値を更新した。
この日の手がかりは日米交渉。日本時間の朝方、ワシントンで会見した茂木敏充経済再生担当相が、為替問題については財務相間で議論すると交渉で伝えたと発言。米側から特段の反応もなかったことで、市場では「日本は無事に切り抜けた」(大手証券)との見方が広がり、円高警戒感が後退したという。
複数の市場筋によると、交渉で為替条項を突きつけられ円高が進行した場合に、ドルの下値で買いを狙っていた参加者が少なくなかった。米が通商交渉に付帯させる為替条項は、国内世論へのアピールを重視したもので、環太平洋連携協定(TPP)や米・メキシコ・カナダの貿易協定(USMCA)と同様、実質的な効果はあまりないとの見方が多かったためだ。
しかし、ドルはこの日も112円付近で底堅い動きとなり、押し目待ちの戦略は画餅に終わった。「なかなか下がらないドルを買う機会を逸している参加者が増えており、買いオーダーを切り上げざるを得なくなっている」(大和証券・投資情報部チーフ為替ストラテジスト、今泉光雄氏)状況に追い込まれているという。