米家電ショーで注目のBoxeeって何だ? ケーブルテレビを駆逐する?!
ラスベガスの家電ビジネスショー、International CES(コンシューマー・エレクトロニック・ショー)が1月11日に終わった。主催のCEA(全米家電協会)によると、今年の参加者は約11万人で、昨年の約14万人を下まわった。パナソニックやシスコシステムズ、サンヨー、パソコン周辺機器のベルキンなどは例年より少ない人数の社員を送り、欧電機大手フィリップスは不参加だった。一方で、参加者数が減ったことを喜ぶ声もあった。「人数が少ない分、本当に話したかった人々と出会え、今年のCESは弊社にとって良かった」(シャープの小売消費市場開発グループのユダ・ジーグラー副社長)。
今年のCESの展示で目立ったのはネットとテレビを結び付けたデジタルエンターティメント製品などだ。米国では、来月2月17日からアナログによるテレビ放送が終わり、一斉にデジタル放送化される。これが追い風になっているのだろう。デジタル化放送となれば、パソコンなどとの複合化が加速するのは確実。具体的にはインターネットとテレビを複合化したヤフーのコネクテッドTV、サムソンの紙の薄さ程のデジタルテレビ、パナソニック、ディズニーやソニーのブルーレイによる3Dの立体映画などが注目を集めていた。とくに立体映像画面は、消費者の関心度も高く、次の映像技術革新の潮流になるとの声がある。だが、いまのところ規格統一はまとまっていない段階で、これから各社の動向が気になるところだ。
さて、今回のCESでお披露目されたさまざまな製品の中で、注目を集めていたもののひとつが、Boxeeだ。2007年に創業し、ニューヨークに本社を置くBoxeeは、映像やネット放送などのを統合的にあつかうソフトエアを提供中。ユーザーは同社の無料ソフトをダウンロードすれば、アマゾンから買った音楽、アップルテレビ、デジカメの写真、ハイビジョンのビデオや映画、それに、CNN.com、ABC.com、BBCNews、YouTube、米国内だけで視聴できるネット映像サービスのHuluなどのネット上のテレビも見ることが可能だ。
アメリカでは、動画投稿サイトへの違法投稿だけでなく、放送局などのコンテンツホルダー自身が番組等をネット経由で配信していることが多い。料金は無料のことが多く、こうしたネット放送のコンテンツを視聴すれば、ケーブルテレビの契約が不要になるほどにコンテンツは充実している。Boxeeは、さまざまコンテンツをまとめて視聴できる環境を提供しており、既存のテレビサービスに代替する機能をもっていると言える。
単にコンテンツを見られるだけでなく、Boxeeユーザの同士で情報を共有したり、一押しのウェブサイト情報を知らせたりすることができるなど、インターネットサービスならではの機能も提供。Twitterなど、既存のソーシャルネットワークの利用も可能だ。
昨年のCESで連邦通信委員会(FCC)の前ケビン・マーチン委員長が「およそすべての通信サービス料金が値下がりしているのに、ケーブルテレビだけは値下がりを続けており、どうにかする必要がある」と問題提起した。Boxeeはケーブルテレビケーブルテレビ・ビジネスに猛威になるのだろうか。BoxeeのCEO(最高経営責任者)のアブナー・ローネンは、「ケーブル会社はより優れたブロードバンドを提供することが必要」と、米ジャーナリストの質問に応じ、同社がケーブルテレビ会社にソフトを提供することで、将来業務提携のようなことができればと答えていた。
現在BoxeeはMac OSX、Linuxに対応しているが、Windows向けのアルファバージョンが今年1月にリリースされるなど日夜改革改善の段階。Boxeeはオープンソースであり、開発にはだれでも参加できる。将来はFirefoxに匹敵するような共通の開発プラットフォームになるべく邁進中だ。同社はボストンのスパーク・キャピタル、ニューヨークのユニオン・スクエア・ベンチャーズなどのベンチャー・キャピタルから、初の資本調達ラウンドで400万ドルを得ている。行く行くは大手コンテンツプロバイダや電子機器メーカーとの提携を通じた収益も目指している。
(Ayako Jacobsson =東洋経済オンライン)
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