「指しゃぶり」と「爪噛み」はむしろ身体にいい シカゴ大教授が教える「最強免疫力」の育て方
著者の1人のロブの研究室での実験では、子どもと犬がいる家庭といない家庭の家族を合わせて60組集めた。17組は生後6カ月~18歳の子どもがいた。別の17組は犬を飼っているが、子どもはいなかった。8組が子どもと犬の両方がいて、残りの18組はどちらもいなかった。
犬が細菌の橋渡しをしてくれている
驚くことに、犬を家の中で飼っている家庭では、カップルが共有する細菌数がかなり多かった。犬が家庭内で細菌の拡散を助けるようだった。これらのカップルは、子どもがいるカップルより互いに共有する細菌が多かった。
つまり、犬がいると微生物の観点から見て2人は似てくるが、子どもがいてもそうはならない。犬は、飼い主のカップルにとってマイクロバイオーム(人体に棲みついた微生物とその遺伝子の集合体で、病原体を排除したり、免疫系を調節したりする)の橋渡し役になってくれるのだ。
ジャックの研究室で行われたある研究では、家の外で猫を飼っている家庭でも、マイクロバイオームに同様の影響が見られた。室内飼いの猫、外飼いの猫で影響にちがいがあるかどうかを調べた例はまだない。いずれにしても、どんな動物でも近くにいればお子さんが出くわす微生物の種類は増えるだろう。
このことは、考えてみればもっともと思える。犬を家畜化した私たちの祖先は、暮らしの中に動物を取り入れなかった人々より恩恵を得ていた。日頃から犬と交流のあった人は、犬が持つ細菌に適応した免疫系を発達させたと私たちは考えている。いわば、私たちは犬に慣れていったのだ。
事によると、私たちは犬の細菌に出合うことを前提とした体を持っていて、もし出合わない場合に一部の人が免疫不全を起こすのかもしれない。この仮説を証明したくともタイムマシンはないが、それを裏付ける動物実験や人間の観察で多くの証拠が得られている。
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