お一人さまで「家で逝く」幸せな最期は存在する

孤立死・孤独死は必ずしも悲劇ではない

医師の中村氏は家族に見守られずに、たった1人で亡くなっても、幸せな最期は可能だと言う。中村氏の経験した村の人びとの最期について語ってもらった(写真:siro46/PIXTA)
金ない、人ない、施設もない。けれども、「家で逝きたい、 看取りたい」という「村人」の希望に“伴走”して四半世紀。福井県にある高齢化率38%、人口2384人の旧名田庄村(現・おおい町)にたった一人の医師として赴任し、在宅医療、介護、看取りを支援してきた中村伸一氏は、大往生とは何かを考え続けてきた。
家族に見守られずに、たった1人で亡くなっても、幸せな最期は可能だと中村氏は言う。昨今、独居世帯が急増しているが、そんなお一人さまにも朗報だ。中村氏の経験した村の人びとの最期について語ってもらった。

孤立死・孤独死は悲劇なのか?

「孤立死や孤独死だなんて、かわいそうに」「警察沙汰で、死体検案されるなんてまっぴら」。

それが一般的な価値観でしょう。でも、本当にそうなのか? 私自身、価値観の転換を感じた出来事がありました。

2012年12月中旬の某日、とても寒い夜の22時30分。東京出張からやっと自宅に戻った直後、電話が鳴りました。

「中村先生ですか? 警察ですが」

「えっ! 僕、何も悪いことやってないっすよ」

とくに心当たりはなくとも、警察から電話があると身構えてしまいます。

「いえいえ、死亡確認をお願いしたいんです。対応してくださいますか?」

「ふ〜。わかりました〜」

不慮の死を遂げた人の死亡を確認するのも、医師の大事な仕事の1つ。警察からお迎えの車が来て、午後23時ジャスト、現場に到着しました。仏さまは70代男性。以前、私が診ていたじいさまでした。

その4年前に母親が亡くなり、1年前には奥さんに先立たれ、子どもたちは遠方に暮らすため、じいさまは一人暮らしです。3年前、非常に珍しい難病を患い、私では対応できず、とある病院の専門医に紹介しました。以降、その病院に通い、最近は病状が安定して調子はよかったと聞いています。

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