お一人さまで「家で逝く」幸せな最期は存在する 孤立死・孤独死は必ずしも悲劇ではない
孤立死・孤独死は悲劇なのか?
「孤立死や孤独死だなんて、かわいそうに」「警察沙汰で、死体検案されるなんてまっぴら」。
それが一般的な価値観でしょう。でも、本当にそうなのか? 私自身、価値観の転換を感じた出来事がありました。
2012年12月中旬の某日、とても寒い夜の22時30分。東京出張からやっと自宅に戻った直後、電話が鳴りました。
「中村先生ですか? 警察ですが」
「えっ! 僕、何も悪いことやってないっすよ」
とくに心当たりはなくとも、警察から電話があると身構えてしまいます。
「いえいえ、死亡確認をお願いしたいんです。対応してくださいますか?」
「ふ〜。わかりました〜」
不慮の死を遂げた人の死亡を確認するのも、医師の大事な仕事の1つ。警察からお迎えの車が来て、午後23時ジャスト、現場に到着しました。仏さまは70代男性。以前、私が診ていたじいさまでした。
その4年前に母親が亡くなり、1年前には奥さんに先立たれ、子どもたちは遠方に暮らすため、じいさまは一人暮らしです。3年前、非常に珍しい難病を患い、私では対応できず、とある病院の専門医に紹介しました。以降、その病院に通い、最近は病状が安定して調子はよかったと聞いています。
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