守らないと罰則!有給休暇を正しく取るルール 4月から施行、従業員に変更点の説明は必須

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ややイレギュラーな形で有給を取らざるをえないケースも出てきそうです。有給5日付与の対象は、年10日の年休が発生している労働者すべてですので、育休復帰者、休職者等についても対象になります。例えば、育児休業についてみても、復帰から残りの労働日が5日以上あれば義務履行の対象です。

変則的な有給消化にも注意を

例えば、4月1日に有給が付与される会社の場合、3月25日に育休から復帰した人がいるとすれば、復帰早々に「まずは5日の有給休暇を取得せよ」ということになります。直ちに復帰できず、復帰の初日からいきなり年休を取得するという極めて奇妙な事態となります。

また、実務的に有給5日の取得状況を把握する管理者を明確にする必要がありそうです。すべて人事部任せにするとミスが発生するおそれがありますので、まずは「現場で」確認するのがよいと思います。その場合も「何となく誰か確認しているはず」ではなく、「○○の役職にある者が確認する」などのルール化をすべきでしょう。

有給の使い方は人それぞれですが、風邪をひいたときや万一のために取っておきたい、と思う人は多いのではないでしょうか。しかし、今回の有給5日取得(させる)義務は罰則を伴うため、企業としては「確実に」履行せざるをえません。そのため、年度末のギリギリになって慌てて時季指定する事態は避けたいので、あらかじめ有給を与えていく必要があります。

その意味では、有給を残しておきたい派の人は有給消化がないので時季指定の対象となり、会社側から「勝手に有給を消費される」ことになります。しかし、繰り返しになりますが、刑事罰がありますので、企業対応としてはそうせざるをえないのです。これは法律による要請であることを企業も労働者に対して説明する必要があるでしょう。

有給5日問題は、刑事罰を伴う強い規制ですので、ミスのないよう、正確に運用していきましょう。

倉重 公太朗 倉重・近衛・森田法律事務所 代表弁護士

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くらしげ こうたろう / Kotaro Kurashige

慶應義塾大学経済学部卒。第一東京弁護士会労働法制委員会 外国法部会副部会長。日本人材マネジメント協会(JSHRM)執行役員。日本CSR普及協会雇用労働専門委員。労働審判・仮処分・労働訴訟の係争案件対応、団体交渉(組合・労働委員会対応)、労災対応(行政・被災者対応)を得意分野とする。企業内セミナー、経営者向けセミナー、社会保険労務士向けセミナーを多数開催。著作は20冊を超えるが、代表作は『企業労働法実務入門』(日本リーダーズ協会 編集代表)、『なぜ景気が回復しても給料は上がらないのか(労働調査会 著者代表)。

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