ややイレギュラーな形で有給を取らざるをえないケースも出てきそうです。有給5日付与の対象は、年10日の年休が発生している労働者すべてですので、育休復帰者、休職者等についても対象になります。例えば、育児休業についてみても、復帰から残りの労働日が5日以上あれば義務履行の対象です。
変則的な有給消化にも注意を
例えば、4月1日に有給が付与される会社の場合、3月25日に育休から復帰した人がいるとすれば、復帰早々に「まずは5日の有給休暇を取得せよ」ということになります。直ちに復帰できず、復帰の初日からいきなり年休を取得するという極めて奇妙な事態となります。
また、実務的に有給5日の取得状況を把握する管理者を明確にする必要がありそうです。すべて人事部任せにするとミスが発生するおそれがありますので、まずは「現場で」確認するのがよいと思います。その場合も「何となく誰か確認しているはず」ではなく、「○○の役職にある者が確認する」などのルール化をすべきでしょう。
有給の使い方は人それぞれですが、風邪をひいたときや万一のために取っておきたい、と思う人は多いのではないでしょうか。しかし、今回の有給5日取得(させる)義務は罰則を伴うため、企業としては「確実に」履行せざるをえません。そのため、年度末のギリギリになって慌てて時季指定する事態は避けたいので、あらかじめ有給を与えていく必要があります。
その意味では、有給を残しておきたい派の人は有給消化がないので時季指定の対象となり、会社側から「勝手に有給を消費される」ことになります。しかし、繰り返しになりますが、刑事罰がありますので、企業対応としてはそうせざるをえないのです。これは法律による要請であることを企業も労働者に対して説明する必要があるでしょう。
有給5日問題は、刑事罰を伴う強い規制ですので、ミスのないよう、正確に運用していきましょう。
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