1万円札を発行すべきでないこれだけの理由 人選は素晴らしいが政府は残念な決定をした

✎ 1〜 ✎ 256 ✎ 257 ✎ 258 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

クレジットカードを持つことができない経済的弱者や、デジタル化になじめない高齢者などに配慮したのかもしれないが、「現金の使用を減らそう」という方向性を明確に打ち出すとよかったのではないか。1万円札の廃止とともに、日本銀行がデジタル通貨を発行することを発表するとよかったのではないか。このたびは、惜しいチャンスを逃したように思う。

「令和」のプラス・サプライズは消費増税再延期

「平成最後の」経済状況は、残念ながら明るくない。日銀短観も悪化してきたし、景気先行指数、同一致指数もともに下落トレンドにあり、機械受注(2月は前年比マイナス5.5%)、首都圏マンション契約率などを見ても、政府が言うような「ゆるやかな拡大」というような和やかな状況ではない。何よりも現金給与総額(全産業、2月)が前年比マイナス0.8%と、勤労者の収入が伸びていない点が重苦しい。

前回の本連載のぐっちーさんの記事によると、景気は消費税次第とのことだが、筆者もこの点に同意するし、とても消費税を上げていい環境ではないと判断する。予定通りに消費税率を引き上げると、消費者は急激に支出を絞り込むのではないだろうか。

筆者は、先日ある女性誌で「消費税増税対策」の取材を受けた。筆者を含めて4人が提起した消費増税対策は、「格安スマホへの乗り換えによる通信費削減」「不要な生命保険の解約」「電気・ガスの料金比較による節約」「スマホ決済の利用によるポイント獲得」とさまざまだったが、こうした企画自体が消費者の節約志向を強く意識したものだ。

ちなみに、世論調査では約6割の人が「食費」を節約対象に挙げているとのことだが、食費の節約はお勧めしない。

節約で大切なのは、①確実であること、②ストレスが小さいこと、③悪影響が小さいこと、の3点だが、食費の節約はストレスになりやすいうえに、効果が不確実だし、栄養・味覚・満足度などに悪影響が及ぶ。一度決めると安定した効果が得られやすい「固定費」から見直すのが常道だ。

期待して裏切られた場合が悲惨であるかもしれないのだが、消費税の増税は再延期される可能性が大いにあるのではないか。

世界景気の減速が意識されて、アメリカの金融政策が引き締めから緩和方向に切り替わりつつある中で、日本が景気にブレーキをかける消費増税を行うのは政策協調上不調和だし、相当の円高・株安・景気の悪化に見舞われることになるだろう。

選挙のたびに消費増税延期を使うことの是非はさておき、消費増税自体は延期するほうがいいし、延期の確率が高まりつつあるのではないだろうか。

政治的にも、与野党対決となった北海道知事選挙で与党側が大勝するなど野党が弱体化しているタイミングであり、「消費増税延期、衆院解散、衆参同日選挙」というシナリオは十分ありうる。

消費増税が延期ないし凍結された場合、株価は急上昇することが予想される。前述のように、これを期待して裏切られるとかなり悲惨なのだが、投資家は「少し」期待してもいいのではないか。長期的な資産形成を目指す向きは、今、株式を売らないほうがいい。

なお予定どおり増税が行われた場合、景気は悪化し、株価も不動産価格もかなり下落することになるだろう。この場合には、久しぶりに絶好の買い場が到来することになるので、追加で投資できる資金の算段をしておこう(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が、週末の人気レースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。

次ページここからは競馬コーナー。週末はいよいよ皐月賞!
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事