英国のEU離脱は労働党との妥協で「穏健路線」に

10月31日までの離脱期限延期で何が起きるか

ブレグジットがEUと協調的な穏健路線になっていくのをボリス・ジョンソン氏は受け入れるのだろうか(写真:EUTERS/Henry Nicholls)

与野党合意が成立した場合、英国ではこの合意内容を反映させるべく、おそらく政治宣言の変更交渉をEUと行うことになろう。この結果、EUとの合意がなされれば、EU離脱法に基づき、離脱協定と政治宣言が英下院採決にかけられることとなる。

4度目となる下院採決のポイントは、保守党の強硬離脱派造反による賛成票の減少を、労働党の穏健離脱派による賛成票の増加で補えるかという点となる。与野党合意の内容によるが、EUと関税同盟締結などの穏健な離脱路線が明記された場合、保守党内の強硬離脱派の大量造反が予想される。

労働党との交渉が決裂したり、4度目の下院採決が否決されたりした場合、メイ政権は、今後のブレグジットの方向性を問う採決を行う予定である。ここではいくつかの選択肢が採決にかけられる予定である。過去の「示唆的投票」の結果を踏まえると、選択肢としてはEU関税同盟への残留や、国民投票の再実施などが考えられる。保守党が従来より目指している包括的なFTA(自由貿易協定)といった選択肢が含まれる可能性もある。

合意できなければ、解散総選挙しかない

それでも英下院でブレグジットの方向性が定まらなければ、いよいよ英下院におけるコンセンサス形成は行き詰まる。この場合、英政府の選択肢としては、「合意なき離脱(ノーディール・ブレグジット)」、「解散総選挙の実施」、「国民投票の再実施」などが考えられる。英下院は過半の議員が合意なき離脱には反対しており、英下院がこれを選択する公算は小さい。国民投票の再実施については、労働党政権への政権交代が必要なのではないかと筆者はみている。

その場合、残された手段としては解散総選挙しかないだろう。英調査会社YouGovが4月2~3日に行った支持率調査では保守・労働両党の支持率は拮抗している(保守党32%、労働党31%)。

解散総選挙や国民投票の再実施になった場合、10月31日の離脱期限に間に合わず、英国は再度EUに対して離脱期限の延期要請に追い込まれる可能性がある。しかし、今回のEU首脳会合における、離脱期限の延期に対するフランスの厳しい姿勢を踏まえると、EU側がさらなる離脱延期を認めるかは定かではない。EUが離脱期限の延期を認めなければ、合意なき離脱となる可能性がある。

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