政治家の「あきれた失言」が生まれる根本背景 続けて2人辞任、ビジネスマンも他人事じゃない

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そもそも、自分の言いたいことを表現したいときに、「何かと何かを比べる」、しかも「関連のないものを無理に持ち出す」のはトークの構成力が弱く、ボキャブラリーが不足しているから。出世して立場が上がっても、1つ1つのスピーチ機会を甘く見ず、事前の準備をしっかり行っていれば、桜田五輪相のような安易かつ強引な比較は避けられるはずです。

「比較」だけでなく「たとえ話」も含めて、自分のトークやボキャブラリーに自信がないビジネスパーソンは、これらを避けることでリスクを遠ざけたほうがいいでしょう。

独りよがりのサービス精神はないか

では、どんなときや、どんな場所で失言が生まれやすいのでしょうか。

ビジネスパーソンが注意したいことで真っ先にあげておきたいのは、「自分が『正しい』と思っていることを言おうとしている」とき。「正しいことなのだから、これくらいは言ってもいいだろう」という気持ちが失言につながってしまうのです。

象徴的なのは昨年、『新潮45』8月号につづった杉田水脈衆議院議員の「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです」という失言。冷静に見れば差別的な発言であることはわかりそうなものですが、杉田議員にとっては正しいことであり、だからここまで堂々と語ったのではないでしょうか。

自分の正当性をにおわせる話を絡めたときは、さらに失言のリスクがアップ。「自分は頑張っている」という努力や、「苦労をしてきた」という自己前提をにおわせるほど、聞き手に失言のムードを感じさせてしまうのが落とし穴です。

政治家に限らず立場のある人なら、「これは自分が正しいと思っているだけなのか?」という疑いを持つとともに、信頼できる人々に尋ねるくらいの周到さがほしいところ。特に大きなお金や多くの人が動くビジネスの現場では、それぞれの立場によって正しいという感覚が変わるだけに要注意です。

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