政治家の「あきれた失言」が生まれる根本背景 続けて2人辞任、ビジネスマンも他人事じゃない

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このような一人称の発言は、失言に直結するリスクが高く、ビジネスパーソンにとっても避けるべきところ。例えば、会社や事業について話しているはずなのに「私」「僕」の話が多いビジネスパーソンは、自分を認めさせるために誇張した話し方になりやすく、当然ながら信用されません。

また、口が滑らかになってくると、自分を大きく見せるために「秘密を漏らしてしまう」「嘘をついてしまう」という人も少なくないのです。塚田国交副大臣が会場の雰囲気にのまれていたかは本人でなければわかりませんが、「何であんなことまで話してしまったのだろう」と感じているのは間違いないでしょう。

日ごろから「私」「僕」という一人称の発言が多い人は、「業務や組織より自我が先んじている」という傾向が強く、失言には注意したいところです。

失言に直結する「安易で強引な比較」

一方、桜田五輪相の失言は、高橋比奈子衆議院議員のパーティーでのあいさつ。高橋議員への支援を求めるために、「復興より高橋さんのほうが大事」と言ってしまったのです。

この発言が「復興を軽視している」ことは明らかであり、2月に競泳・池江璃花子選手の白血病公表を受けた「日本が本当に期待している選手なのでがっかりしている」という失言も含めて、桜田五輪相は人の痛みに鈍感なタイプなのでしょう。

政治家としての資質を疑われてしまうのは仕方がないとしても、世の中にはこういう人が少なくありません。特に現在、一定の成功を得ているビジネスパーソンの中には、「以前より人の痛みを感じにくくなっている」という人をよく見かけます。

だからこそ気をつけなければいけないのは、何かと何かを比べないこと。桜田五輪相の失敗は、本来比べる必要のない復興と高橋議員を天びんにかけたことでした。何かと何かを比べると必然的に優劣が表現され、何かを斬り捨てることにつながりやすく、「どちらも素晴らしい」という結論でまとめようとしても違和感が残ってしまいがちです。

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